<06/01/25> アスベスト(米国のアスベスト問題から)
辞書的には、石綿とも言われており、天然に存在している鉱物資源。主な成分は、珪酸マグネシウム塩で、蛇紋石族と角閃石族に分類される。一言でアスベストといっても様々なものがあり、一般的には下記のものを指すと言われている。
アスベスト 蛇紋石族 クリソタイル(白石綿)
アンチゴライト
リザータイト
角閃石族 クロシドライト(青石綿)
アモサイト(褐石綿)
トレモライト(透角閃石綿)
アンソフィライト(直閃石綿)
アクチノライト(陽起石綿)

アスベストは、耐熱性に優れており(白石綿では500℃までは安定、角閃石族はさらに高温で安定している)、ピアノ線なみの張力があり、柔軟性・絶縁性・防音・保温にも優れた性能がある。
用途は建築資材としてのもののみならず、接着剤・ペンキの補強剤などに至るまで3000種類以上の工業用品として幅広く使用されている(禁止用途は下記「別表第八の二 石綿を含有する製品」参照)。
石綿による労働者及び工場周辺住民の肺がん、中皮腫などの健康被害を予防するため、平成7年に上記よりクロシドライトおよびアモサイトの製造等が禁止され、平成16年10月1日にはクリソタイルの製造等が禁止された。これにより、国内の石綿使用量の大部分が削減された。工業的にはクロシドライトを青、クリソタイルを白、アモサイトを茶と呼んでおり、毒性は青>茶>白であるといわれている。
しかし、蛇紋石自身は宝飾品やいわゆる癒し用のパワーストーンとして流通しており、決して毒性のみが取りざたされるものではない。特に蛇紋のある独特の岩石は置物としても珍重されるものである。
蛇紋石系の石綿は元来火成岩でありマグマが地下深くで徐々に固まって出来たものである。そのうち石英を多く含むものとそうでないものに分類され、多く含むものが花崗岩として知られている。石英含有量が少ないものは橄欖岩(かんらんがん)といわれるもので主として橄欖石で構成されている。これが水の作用で変質すると蛇紋岩が構成されそれがクリソタイルとアンチゴライトそしてリザーダイトという三種に分類されそのうちクリソタイルが白石綿と言われているものである。

【参考】
労働安全衛生法(昭和四十七年六月八日法律第五十七号)
(製造等の禁止)
第五十五条  黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
労働安全衛生法施行令
第十六条  法第五十五条 の政令で定める物は、次のとおりとする。
一  黄りんマツチ
二  ベンジジン及びその塩
三  四―アミノジフエニル及びその塩
四  アモサイト
五  クロシドライト
六  四―ニトロジフエニル及びその塩
七  ビス(クロロメチル)エーテル
八  ベータ―ナフチルアミン及びその塩
九  石綿(第四号及び第五号に掲げる物を除く。以下この号において同じ。)を含有する別表第八の二に掲げる製品で、その含有する石綿の重量が当該製品の重量の一パーセントを超えるもの
別表第八の二 石綿を含有する製品(第十六条関係)
一 石綿セメント円筒
二 押出成形セメント板
三 住宅屋根用化粧スレート
四 繊維強化セメント板
五 窯業系サイディング
六 クラッチフェーシング
七 クラッチライニング
八 ブレーキパッド
九 ブレーキライニング
十 接着剤
(2006年1月12日 日刊 4面) 保険用語研究会