ヘッジ付き外債投資は、一般に、長期の外貨建債券と短期の為替ヘッジ(通常3カ月)を組み合わせることでなされ、長期金利の内外金利差が短期金利のそれを上回る場合、国内(円)の長期金利を上回るインカム収入が得られる。しかしながら最近その投資妙味が薄れていると記事にある。
実例を3年前と直近の日米の金利状況で示す(年率)。
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3年前
(2004.1.4) |
直近
(2007.1.4) |
@10年米国債 |
4.4% |
4.6% |
3カ月米ドル金利
(A) |
1.2% |
5.4% |
3カ月円金利
(B) |
0.1% |
0.6% |
Aヘッジコスト
(A−B) |
1.1% |
4.8% |
@−A
インカム収入 |
3.3% |
▲0.2% |
(参考)
10年日本国債 |
1.4% |
1.7% |
3カ月の為替ヘッジのコストは3カ月金利の内外金利差である。3年前には、10年米国債を買って為替ヘッジをかければ、年率4.4%の利息収入が得られ、一方で為替ヘッジコストとして年率1.1%を支払うので、為替の変動リスクを回避した上で、差し引き3.3%のインカム収入が得られ、日本国債の1.4%を大幅に上回った。これがヘッジ付き外債の投資妙味である。
ところが、直近の金利状況でこれと同様のヘッジ付き外債投資をしようとすると、ヘッジコストが年率4.8%に達し、年率4.6%の利息収入を上回ってしまう(インカム収入がマイナスとなる)。
なお、数年前の好適な金利状況で投資する場合も、いいことづくめではない。最近のように外貨の短期金利が急上昇してヘッジコストが急騰するリスクや、外貨の長期金利が上昇して外貨建債券の債券価格が下落するリスクがあり、これらのリスクに留意しながら投資を行うことが肝要である。
(2006年12月27日 日刊 3面)
保険用語研究会