<06/10/16> 異常危険準備金の積立率 |
保険業法施行規則では、異常危険準備金とは損害保険会社の普通責任準備金を構成する区分の一つであって、異常災害による損害のてん補に充てるため、収入保険料を基礎として計算した金額を積み立てることとされている。巨大災害等の広範囲なリスクを対象とする損害保険事業の特性を考慮し、大数の法則が機能しない危険に対する備えとして、積立てを複数事業年度にわたり累積的に行い、異常災害が発生した年度に取り崩すという仕組みの異常危険準備金制度が設けられている。 近年では、一時巨大災害リスクや自然災害リスクに対する関心が高まり、損害保険会社の健全性を示す指標の一つとして、異常危険準備金の積立率が使われるケースが増えてきている。ここで使われる異常危険準備金の積立率とは、異常危険準備金の残高を正味収入保険料で割ったものが一般的である。 異常危険準備金の積立方法については、保険商品ごとに作成される責任準備金算出方法書に規定されるが、具体的には、 @残高の限度 A毎事業年度の繰入額 B毎事業年度の取崩額 ―の事項が規定されている。このうち、Aについては、たとえば「当該事業年度の正味保険料の2%以上の金額を異常危険準備金に積み立てる。」となっており、この繰入率については保険種類ごとに定められている。 また、これとは別に法人税法上の取り扱いとして、異常危険準備金への繰入率の限度(すなわち、損金処理できる限度)などが規定されている。ただし、責任準備金算出方法書上ではほとんどの保険種目について異常危険準備金の積み立てが規定されているのに対して、税法上規定されているのは火災保険などの一部の保険種目に限られており、自動車保険など多数の保険種目では有税で積み立てられている。 ところで、異常危険準備金への繰入率のことを積立率と表現する場合も多くあり、内容を正確に理解するためには注意が必要である。 (2006年9月26日 日刊 1面)
保険用語研究会
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