<06/03/09> 解除権
生命保険契約では、
@契約者または被保険者に、告知義務違反があった場合、保険会社は保険契約を解除することができる(商法第644条第1項、第 678条第1項)、
A生命保険約款では、「重大事由が生じたとき契約解除」をすることを定めている。すなわち、商法は告知義務違反の効果として当該契約を無効とせず、保険者に解除する権利(解除権)を与えるに止めているのである。
 解除権の行使は、それが法律行為であり形成権の行使に他ならないところから民法の一般原則(第540条第1項)にしたがい契約の相手方たる保険契約者に対してなされるべく、また、その意思表示の方法は、民法、商法いずれにも別段の規定がなされていないところから、口頭書面のいずれによってもよいとされている。

 告知義務違反による契約の解除権は保険者の形成権であり、解除する旨の意思表示(一方的意思表示)が契約者に到着したときにその効力が発生する(民法第97条第1項)。これにより保険契約が解除されたとき、民法上は契約は成立当初に遡って消滅するはずであるが、商法は「将来に向かってのみ其効力を生ず」(第645条第1項)とし、保険事故発生後においても契約解除できる旨規定すると共に、保険金を支払った場合にはその返還請求権を認めている(同条第2項)。
 なお、現行の各社普通保険約款は、概ね、解除に伴う返戻金として解約払戻金と同額の返還金を契約者またはその相続人に支払うとしている。
(2006年02月20日 日刊 4面) 保険用語研究会
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