<06/06/01> 鑑定人 |
「鑑定人」と名がつくものを、知名度が高いと思われる順に勝手に並べると、次のようになろうか。 医学鑑定人、筆跡鑑定人、指紋鑑定人、訴訟法上の鑑定人、交通事故鑑定人、著作権鑑定人、印鑑鑑定人、 計算鑑定人、所定鑑定人、港湾運送事業法上の鑑定人、・・・ 損害保険鑑定人はこのうちのどのあたりに位置するのであろうか。 さて、損害保険業界にはなくてはならない損害保険鑑定人は、正式には「損害保険登録鑑定人」という。損害保険鑑定人とは、損害保険会社等から委託を受けて損害保険に関わる建物や動産の損害額の算定、保険価額(または時価額)の評価、事故状況・原因の調査、およびこれらに関連する一連の業務を行う者をいう。この鑑定人の資格を取得するためには、現在のところ日 本損害保険協会が実施する認定試験に合格して、同協会に登録することが必要となる。 損害保険鑑定人が実際に行う損害保険保険鑑定業務とは、具体的には、火災保険、動産総合保険、機械保険、組立保険、建設工事保険、土木工事保険、盗難保険等に関わる物件の鑑定、賠償責任保険および自動車保険に関わる対物賠償物件の鑑定、店舗休業保険および利益保険に関わる休業に伴う損失の鑑定である。さらに、これと関連して各種ビル、ホテル、百貨店等の商業施設や電気・自動車等の製造工場、化学・石油精製等のプラント施設から神社・仏閣などに至るまで幅広く保険価額の評価業務を行っており、防災診断や相談活動も行っているとのこと。 この損害保険鑑定業務を専業として行う事業者が会員となっている団体が、日本損害保険鑑定人協会(略称:鑑定人協会)であり、設立からすでに30年が経過している。所属する損害保険鑑定人の人数は、この4月現在で688名とのこと。この協会が会員向けに行っている事業の一つとして、損害保険鑑定人の知識習得・技能向上を目的として鑑定技能大学や各種基礎研修・専門講座などの運営があり、今日ますます高度化・複雑化するリスクを的確に捉え、保険制度によって顧客に適切かつ効果的に安心を提供するためにも、損害保険鑑定人の資質の向上ならびに認知度のアップが望まれるところである。 (2006年5月2日 日刊 1面)
保険用語研究会 |
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