<06/07/31> 過失怠慢賠償責任保険
過失怠慢賠償責任保険は、Errors and Omissions Insurance(略してE&O Insuranceと表記することも多い)の訳であり、日本にはあまり馴染みのない言葉(ただし、同種の保険は、賠償責任保険の中で限定的ではあるが取り扱われている)であるが、賠償責任保険が発達している米国においては、かなり以前から取り扱われている保険のようだ。
E&O保険とは、被保険者となる企業が、その顧客との間の契約に基づきサービス等を提供する際に、過失・怠慢により顧客に損害を与え、顧客に対して賠償責任が生じた場合にそれを補償する保険である。なお、企業に発生する賠償責任を補償する保険としては、企業用一般賠償責任保険(Commercial General Liability policy)もあるが、この保険では過失・怠慢は補償外となっているために、このE&O保険に別途加入する必要があるとのことである。
この保険は、理論的には顧客との契約に基づいてサービス等の提供を行い、その対価を収受することを生業とする企業であれば、あらゆる企業に対して適用することができるが、現実としてどのような業種の企業をターゲットとしてこの保険が販売されているのか、代表的なものは以下のとおりである。
◆広告業◆出版・印刷業◆放送業◆コンピュータ関連◆各種コンサルティング◆デザイン業◆ファイナンシャルプランナー◆インターネット関連◆投資アドバイス◆不動産業◆Web関連◆信託受託者
ところで、E&Oという言い方のほかに、Professional LiabilityやMalpracticeという言い方もあり、特に医療過誤賠償責任保険(Medical Malpractice Insurance)は、日本でも以前からよく聞き慣れた名前である。歴史的にはおそらく、医師、弁護士、公認会計士、建築士などの学術的な資格を持った専門家に対して、その業務上発生する賠償責任を担保するものとしてProfessional Liability Insuranceがスタートであったが、近年になり社会の高度化に伴って専門家の範囲も大きく拡大し、現在ではE&Oの呼び方の方が一般的になっているようである。
(2006年7月24日 日刊 5面) 保険用語研究会