<06/07/03> 業務停止命令
保険業法における一般的な業務停止命令には、同法第132条第1項によるものと第133条によるもの(外国保険会社等や少額短期保険業者等についてはそれぞれ別条で定められている。)がある。
第133条の規定は、「(1) 法令、法令に基づく内閣総理大臣の処分又は第4条第2項各号に掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき。(2) 当該免許に付された条件に違反したとき。(3) 公益を害する行為をしたとき。」と、重大な違反行為があった場合に命令が出されるものであるのに対して、第132条第1項の規定は、「当該保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるとき」に、業務改善命令または業務停止命令を出すことができるとなっている。したがって、第133条の事項に該当する場合には「業務停止命令」を出し、その他の場合には第132条第1項に従って「業務改善命令」を出すのが普通のようだ。
停止命令の対象となる業務については、第97条(固有業務)、第98条(付随業務)および第99条(周辺業務)に規定されている、保険会社に認められている業務であるため、処分の原因となった事実に応じて、理論上はさまざまな業務停止命令がありうることになる。
業務停止命令が出された保険会社が、業務として取り扱うことができないもの、および取り扱うことができるものなどの具体的なルールが明確に決められている訳ではないようだが、たとえば保険の引受け業務に対して停止命令を受けた場合の例を見てみると、契約の募集に関する業務一切(募集文書の配布、商品説明等)、新規あるいは更改に関する契約手続き、契約の異動のうち担保されるリスクが追加される場合については、取り扱うことができないとされている。逆に、自動継続による契約更新、解約・取消の業務は取り扱うことができるとされている。
(2006年6月23日 日刊 2面) 保険用語研究会