<06/10/31> キャプティブ
キャプティブ(Captive)とは、保険以外の事業を手掛ける企業が、企業グループ内に保険子会社を設立して、そのグループや集団の保険をその子会社が引き受けるようにする仕組みであり、「自家保険制度」とか「保険子会社」と呼ばれることもある。
通常、キャプティブは、キャプティブ専門の法律を整備し誘致している海外の国や地域に設立される。ただし、日本の場合には海外の保険会社と直接取引を行うことが認められていないため、日本で営業を行っている保険会社からキャプティブへの再保険という形で保険の引受けを行っているのが実態である。
現在、世界には5,000社を超えるキャプティブがあるとされているが、そのうち日系のキャプティブは100社前後とまだまだ少ない。
2005年8月に経済産業相の諮問機関である産業構造審議会の産業金融部会が、「次世代の企業財務と産業金融機能のあり方について」と題して企業財務の高度化を促すための課題をまとめた中間報告書の中で、子会社設立を制限している保険業法を改正し、キャプティブを浸透させることを提言している。
現在においては、ART(Alternative Risk Transfer:代替的リスク移転)と呼ばれる新しい手法を用いたリスクマネジメント手法の一つとして、キャプティブが整理されるようになっており、キャプティブの設立をコンサルティングする、あるいはレンタキャプティブのような新しいキャプティブのスキームを構築して、顧客にキャプティブの活性化を促す専門会社が出現するなど、徐々にではあるが日本でも浸透しつつあるようである。
(2006年10月23日 日刊 2面) 保険用語研究会