<06/02/08> 告知義務 |
保険制度を健全かつ合理的に運営していくには支払保険金の総額と収入純保険料の総額とが均等化される必要があり、その間のバランスを保っていくうえから、保険者は個々の契約締結に際して保険事故発生の危険性を正しく測定しなければならない。 そこで、法は保険事業の合理的運営を図るため、危険測定上最も必要な事項は保険契約者および被保険者が最もよく知る事項が多く、保険者が全てを調査し尽くすことは困難であるところから、保険契約者および被保険者に協力を求め、危険測定上重要な事項または事実について告知を求めることとしたのである。すなわち、商法の規定する告知義務制度(商法第678条第1項)がこれである。なお、ここで述べた制度必要性の理由は「危険測定説」として現在の通説とされている。この通説に対し、説明が不十分であるとして、「保険契約の射倖契約性を併せ考えなければならないとする。保険契約者は保険事故発生の可能性の大小に影響を及ぼす事実を知っているが、保険者はこれを知らないという場合に、保険契約者がその事実を伏せたままで契約を締結するのは、公正とはいえない。保険契約者がかかる事実を知っている場合には、契約締結に先立ちてこれを保険者に開示することが信義則上とくに要請される。保険者が危険測定のために保険契約者の協力を必要とする事情があるとする「射倖契約説」も有力である。 (2005年12月19日 日刊 1面)
保険用語研究会
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