<05/12/15> 公序良俗違反による契約無効 |
判決文の中には、公序良俗違反により契約を無効とするものがある。 その根拠は、民法第90条〔公序良俗違反〕「公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ反スル事項ヲ目的トスル法律行為ハ無効トス」とするものです。 判決文から公序良俗違反とする根拠は、概ね、射倖契約である傷害・生命保険において積極的な不労利得を主要な動機とする不法の賭博行為と評価し、公序良俗違反(不法の賭博行為)としているものです。 そしてそれらの判決例を分析するとその要件は次のとおりである。 保険契約によって支払われる保険金等が、被保険者等の収入に比して、桁外れに高額で、社会的な危険分散のために加入する保険としては明らかに限度を超え、契約の締結が当初から不労の利得そのもを専らの目的として不正に行われたものであることとして、民法90条に照らしてその法的効果を否定されるとしている(大阪地判平成8年12月25日)。 そしてその保険金額が高額か否かは、個々の保険契約を個別的に見るのではなく、加入している契約全体から判断されるべきでとし(大阪地判~3年3月26日)、さらに、生命保険契約が累積した時点で公序良俗に反する状態となりえる旨を判示している(東京地判~6.5.11)。 近時の多くの保険会社の生命保険普通保険約款で「保険金不法取得目的とする契約は無効」としている。 (2005年10月24日
日刊 3面)
保険用語研究会
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