<06/07/24> 6月6日最高裁判決の「偶然な事故」 |
平成18年6月6日最高裁判決は『「衝突、接触…その他偶然な事故」を保険事故とする自動車保険契約の約款に基づき、車両に傷が付けられたことが保険事故に該当するとして、車両保険金の支払を請求する者は、事故の発生が被保険者の意思に基づかないものであることについて主張、立証すべき責任を負わない』としている。このときの約款の支払事由の「偶然の事故」の定義は商法629条にいう「偶然ナル」事故と同じであると考える、というものである。要するに、保険契約成立要件にいう「偶然の事故」の概念は支払事由にも正確に遺伝する、という考え方である。即ち、支払事由にいう偶然の事故には被保険者の事故招致か否かは含まないといっている。しからば、契約成立要件にいう「偶然の事故」とはなにかというと、契約成立の当時の当該事故の既発性の排除と、発生可能性(または発生不可能性)などについての偶然性のこととなる。そこには被保険者の故意云々を指し示す文言は見当たらないとするものである。 従って、保険金を支払うか不払いにするかは免責事由の該当・非該当で争えといっていることになる。そして、その際の主張立証責任は保険者側にあると言っているのである。 今後、本案件は名古屋高裁での差し戻し後の審理で、契約者側の故意や重過失の有無が審理される。 (2006年7月11日 日刊 3面)
保険用語研究会
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