<06/01/26> 自賠責保険審議会
1月13日に第122回自動車損害賠償責任保険審議会が開催され、自賠責保険の「基準料率」の検証結果になどについて検討が行われたとのこと。
 そもそも自賠責保険(正確には「自動車損害賠償責任保険」あるいは「自動車損害賠償責任共済」)とは、原動機付自転車(原付)を含むすべての自動車の保有者に対し、自動車1台ごとに加入が義務づけられている強制保険であり、事故が発生したときに被害者への基本的な対人賠償を保障するとともに、加害者の賠償責任を担保する役割を担っている。したがって、事故の被害者が、加害者の加入している保険会社に直接損害賠償額を請求することもできる仕組みも作られている。なお、無保険車による事故やひき逃げ事故の被害者に対しては、政府の保証事業によって救済が図られているが、この部分は責任保険とは切り離して運営されている。
 強制保険である自賠責保険は、自動車損害賠償保障法に定められている制度である。その規定によると、この責任保険・共済を引き受けることができるのは、損害保険会社、および、農業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業等協同組合法の各法に基づいて共済事業を行っている協同組合となっている。したがって、自動車損害賠償保障法の中には、主務大臣として内閣総理大臣、国土交通大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣、さらに間接的に財務大臣、経済産業大臣、と数多くの大臣が登場するのも興味深い。
 さて、この自動車損害賠償保障法第31条には、「金融庁に、自動車損害賠償責任保険審議会(以下「審議会」という。)を置く。」と規定されている。審議会の主な目的は、自賠責保険・共済の引受けや事業運営に係る免許、責任保険の基準料率に関する認可事項について、主務大臣から諮問を受けて審議を行うことである。ちなみに、今回の審議会の議事項目は、前述の「料率検証結果について」の外に、報告事項として、「保険料等充当交付金の再計算について」、「特別会計の改革について」、「自賠責保険診療報酬基準案について」、「平成18年度自動車損害賠償保障事業特別会計の運用益の使途について」等々となっている。
 今回の料率検証結果においては、2005年度、2006年度の損害率は、それぞれ103.9%、104.1%であり、予定損害率106.9%を下回っているため、料率改定の必要はないとの結論が出されている。では我々が支払う保険料・掛金も変わらないのかというとそうではなく、2002年度の制度改正(政府再保険制度の廃止等)により、過去の累積運用益を原資として、政府から契約者(原付は対象外)に対して、2002年度から2007年度までの6年間で還元されることになっており、2006年度にかけてはこの交付金が減額されるため、契約者の負担額は増えることになる。
(2006年1月24日 日刊 2面) 保険用語研究会