<05/08/15> 傷害保険における「重大な過失」とは
生命保険の災害関係特約の保険金を支払わない事由(免責事由)として「重大な過失」による事故を原因とした場合の死亡等は支払をしないと定めている。この「重大な過失」は、損害保険給付についての免責事由を定める商法641条、829条にいう「重大な過失」と同趣旨のものとされている。
 ここでいう「重大な過失」とは、通常の過失に対して、行為者の注意義務に違反した程度が著しい場合をいう。すなわち、相当の注意をなすまでもなく容易に有害な結果を予見し得たにもかかわらず予見しなかった注意の欠如の状態、または、予見した後これを容易に回避することができたにも拘らず、漫然と看過して回避防止を行わなかったような注意欠如の状態で、保険者をして給付金等支払の責を免れしめるのが当然であると一般人が認め得るようなものと解されている。そして、個々の具体的事案において「重大な過失」があったか否かの判断は、被保険者の年齢、職業、生活環境等をはじめ、保険事故を招いた状況下での守られるべき法令、あるいは従うべき慣習、条理(常識)等によって総合的、客観的に下されるべきものと考える。
判例は、それぞれ@「僅かの注意を払うことによって十分予見し得る」とする通常の意義に解するもの(最判昭32.7.9、最判平成4年1月21日)、
A「重大な過失というごとき抽象的条項の解釈に際しては附合契約における一般人の理解という点を考慮してなさ(れ)るべきである」附合契約における一般人の理解という点を考慮(秋田地判昭31.5.22)、
B 故意の代替概念とするもの、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解される(最判昭32.7。9、最判昭57.7.15、大阪地判昭1.2.23他)、 
C保険金支払いが信義則上不当とされる場合と解するもの(仙台地判平5.5.11)等判断基準は必ずしも一致していない。
(2004年03月03日日刊4面) 保険用語研究会
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