<06/07/27> 中国の自賠責保険
中国では、この7月1日から強制自動車賠償責任保険が導入された。保険の正式名称は「機動車交通事故責任強制保険」、略称は「交強険」である。この保険制度を規定する「機動車交通事故責任強制保険条例」の第1条において、「自動車事故による被害者が法的に損害賠償を受けることを保障し、道路交通の安全を促進するために、中華人民共和国保険法に基づき本条例を制定する。」とその目的が明記されている。
 この強制保険制度は、日本の自賠責保険制度と類似しており、自動車事故による死亡・後遺障害(限度額は5万元)、医療費用(同8000元)および財物損失(同2000元)にかかる賠償責任を対象とし、車両の損害賠償責任は対象外となっている。また、責任保険であるもものの、被保険者が無過失の場合でも限度額の20%までは保障されることになっている。
 また、条例の第6条では、統一の保険約款と基礎料率が用いられ、ノーロス・ノープロフィットの原則に基づいて料率が決められることが規定されている。なお、基礎料率とあるのは、被保険者の交通違反歴および事故歴に応じ、基礎料率を基準にして1年ごとに適用料率が決まる仕組みとなっているからである。また、条例第5条では、この強制保険の取り扱いができるのは、中国資本の保険会社のうち、保険監督管理委員会の認可を受けた会社に限られることとなっている。
 中国国内の全自動車所有者は、10月1日までにこの強制保険に加入しなければならないとされている。付保率を100%までにいかに近づけ、また必要に応じて補償限度額などの見直しを行っていくことにより、本保険制度の趣旨を達成していくことが今後の大きな課題であろう。
(2006年6月28日 日刊 5面) 保険用語研究会