<06/05/01> 特定保険業者
特定保険業および特定保険業者は、この4月1日に施行された保険業法改正の経過措置の中で生まれたものである。改正された保険業法では、保険業を営むことのできる事業形態は、原則として、従来からある「保険会社」と、新しく定義された「少額短期保険業者」の二つとなっており、扱うことができる保険の種類・限度などのほか、免許制か登録制か、供託金の有無、契約者保護機構等の資金援助の有無などにより区分されている。また、そもそもの改正の大きなポイントとして、保険業法で規定する「保険業」の定義が変更されたことがある。改正前の第2条第1項では、「この法律において「保険業」とは、不特定の者を相手方として、人の生死に関し一定額の保険金を支払うことを約し保険料を収受する保険、一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し保険料を収受する保険・・・をいう。」であったものが、「、不特定の者を相手方として」の部分が削除されている。これによって、従来は保険業法の適用を受けなかったたとえば共済事業などが、新たに保険業法の適用を受けるようになった(ただし、例外も別途規定されている)。
この保険業法改正の経過措置として、従来は保険業法の適用を受けずに保険類似事業を営んできた団体も、改正後も事業を継続できるように法的に整理したものが、特定保険業および特定保険業者である。少額短期保険業者と違い特定保険業者は、金融庁への届出だけで従来の事業を継続できるようになっているが、それも2年間という期間限定が付されている。したがって、この2年間の間に、保険会社または少額短期保険業者に移行するのか、あるいは契約を他の事業者に移転するのかなどの、加入者にとってみれば非常に重大な選択が、事業者に迫られることになる。
この2年間は、関連する様々なニュースが飛び交うことが容易に想像される。とにかく無事に移行できるよう関心を持って見守っていきたいものである。
(2006年3月28日 日刊 1面) 保険用語研究会