<06/11/02> トリプル-X
トリプル-X規制とは、1995年にNAIC(全米保険監督官協会)が定めた「生命保険の責任準備金に関する規則」に基づく一連の規制を言う。この規則は当初、アクチュアリアル・ガイドラインとして草案が作成されたが、その草案をタイプした秘書が「アクチュアリアル・ガイドラインXXX号」(XXXは空欄の意図)とタイプしたことが、名称の由来とされている(これが「受けた」ためか、その後「トリプルM」「トリプルZ」「フォースZ」などと通称される規制も登場している)。
 米国では、1980年代から「ターム・ウォー」と言われる定期保険の保険料率引き下げ競争が行われてきた。保険監督官たちは、この競争によって定期保険に関するソルベンシー(支払能力)が低下することを懸念し、1995年に法定責任準備金の積立を強化する内容のモデル規則を定めた。これがいわゆるトリプル−X規制であり、その後、各州はこれに沿った法制化を行っている。
 この規制には、保険料率については業界に自由に競争をさせつつ、一方でソルベンシーについては保守的な積立を求めるという、米国の監督官たちのポリシーがよく顕れている。一方で保険会社側は、記事にあるように、(保守的な)法定責任準備金と現実的な計算基礎に基づき計算される責任準備金の差額から将来生まれるであろう利益を証券化することで対応している。
(2006年10月26日 日刊 5面) 保険用語研究会