<06/04/25> 受取人
生命保険契約上の一方の当事者たる保険契約者は、生命保険契約に基づく保険料の支払義務者であり、保険料を支払うことによって生命保険契約による利益を享受することができる。したがって、保険契約者みずからが保険金受取人となるのが通常の契約形態といえよう(「自己のためにする生命保険契約」)。しかし、生命保険契約は、保険契約者自身の生活設計のためになされるものの他に、遺族の生活安定を図るために利用されるものでもあるため、法は、死亡保険金を受け取るべき者を保険契約者以外の第三者とすることを認めている(商法第675条「他人のためにする生命保険契約」)。
 死亡保険金受取人をだれにするかについては損害保険と異なりその者が被保険利益を有している必要はなく、そこに、格別の制限はないが、民法537条「第三者のためにする契約」のひとつと理解され、保険契約者と保険金受取人とは対価関係があるとされる。その意味では、保険金受取人は被保険者の親族であることを必要とせず、また、自然人に限らず法人であってもよく、員数についても一人でもよく複数人であってもよいとされている(商法第680条第1項第2号参照)。
 (2006年4月12日 日刊 6面) 保険用語研究会