先端的賠償責任保険 ―ファイナンシャル・ラインの機能と役割
著者 山越 誠司 著
出版社 保険毎日新聞社
発行日 2022年3月15日
体裁・価格 本体2800円/税込3080円/送料495円(税込)/A5判/222ページ
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 ファイナンシャル・ライン(financial lines)と称される保険類について、それぞれの保険の構造や活用法、さらには補償が対応しているリスクなどについて細部にわたって検証を行い、実効性から将来展望に至るまで考察した保険実務者・企業担当者のための解説書。
 ファイナンシャル・ラインの保険には、近年関心が高まっているサイバー保険をはじめ、知的財産訴訟保険、雇用慣行賠償責任保険、専門業務賠償責任保険、会社役員賠償責任保険などが含まれる。これらはいずれも対人・対物事故を伴わない主に“純粋経済損害(pure economic loss)”を補償する保険であるが、いわゆる人的、物的損害に対応する保険に比べて損害が目に見えないこともあって、保険事故の発生や損害の認識が難しいためにこの分野の普及が遅れ、損害保険市場において最後に残された未開の地と見られる一方、今日においては、唯一残された成長分野であるとの認識もなされている。この分野を理解し開拓することは、そのまま損害保険業界の発展にも寄与することになり、また、企業にとっても有形資産から無形資産を重視する経営戦略に移行している状況下で、この分野の保険を有効活用したリスク管理は、一つの重要な課題となっている。
 本書では、ファイナンシャル・ラインの保険そのものの構造の理解のみならず、各種保険が必要とされる理由や、企業活動においてどのようなリスクが存在し、そのリスクに対して保険が実際にどのように機能するのかの分析評価を行い、また、企業の事業展開が広域化しビジネスモデルが複雑化するなか、リスク管理で求められる賠償責任保険の役割と実効性はどのようなものかを、現行の保険制度のもとで可視化して解説している。
 欧米諸国においては既に研究や活用が積極的になされているこれらの先端的賠償責任保険について、本書がわが国の損害賠償保険に新たな分野を切り開いてゆくための道標となり、保険実務者には保険商品の開発・販売のための基本資料として、企業担当者には保険の有用性を求め活用を図る手掛かりとして、関係者にとって裨益する一冊!!


■【本書の内容】
序章
第1章 サイバー攻撃に対する保険の検討
第1節 序説
第2節 アメリカにおける伝統的保険
第3節 サイバーリスク特化型の保険
第4節 小括
第2章 サイバー保険の機能と約款の分析
第1節 序説
第2節 リスク管理としてのサイバー保険
第3節 サイバー保険約款の機能的分析
第4節 小括
第3章 知的財産訴訟保険の難度と将来展望
第1節 序説
第2節 知的財産訴訟の現代的な特徴
第3節 知的財産訴訟保険の概要と可能性
第4節 小括
第4章 雇用慣行賠償責任保険の実用的価値
第1節 序説
第2節 労働環境の変容と各国労働法制
第3節 EPL保険の機能と本質的価値
第4節 小括
第5章 専門業務賠償責任保険の新たな展開
第1節 序説
第2節 PI保険の構造と純粋経済損害
第3節 PI保険の純粋経済損害に対する補償
第4節 小括
第6章 金融機関専門業務賠償責任保険の実効性
第1節 序説
第2節 FIPI保険の概要および実効性
第3節 銀行業務の固有リスクとFIPI保険
第4節 小括
第7章 投資ファンドの専門業務賠償責任保険
第1節 序説
第2節 PE会社向け専門業務賠償責任保険
第3節 AM会社向け専門業務賠償責任保険
第4節 小括
第8章 上場会社と非上場会社のD&O保険
第1節 序説
第2節 上場会社D&O保険の固有の課題
第3節 非上場会社にこそ必要なD&O保険
第4節 小括
終章
事項索引


■【著者紹介】
オリックス株式会社グループ人事部報酬チーム兼グループ総務部担当部長。1968年札幌市に生まれる。1991年、東洋大学法学部卒業。1993年、東洋大学大学院法学研究科博士前期課程修了、日産火災海上保険株式会社に入社し営業を経験。2001年、エーオン・リスク・サービス・ジャパン株式会社にて多国籍企業の保険手配業務、2002年、株式会社エヌ・エヌ・アイにてキャプティブのコンサルティング業務、2004年、オリックス株式会社にて損害保険関連業務と営業、2012年、フェデラル・インシュアランス・カンパニーにてアンダーライティング業務を経験。2016年、オリックス株式会社に再入社し損害保険関連業務に従事。2020年、日本保険学会賞(著書の部)受賞。神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程在学。