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Book Details インシュアテックをめぐる法的論点

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インシュアテックをめぐる法的論点
吉澤 卓哉(京都産業大学教授) 著
発行日
2023/03/25
判型/ページ数
A5判/306頁
価格
4,180円(税込) 3,800円(税抜)
ISBNコード
9784892934599
本書の内容

 フィンテック(FinTech)の保険版であるインシュアテックは、最新デジタル技術の活用により、保険業務の効率化やこれまでにない保険形態や保険サービスの可能性をもたらしている。保険契約者にとっても、保険内容の多様化で満足度や利便性がより高まる効果が期待される。
本書は、インシュアテックの進展による保険や保険業の変容に関して、現行の保険法や保険業法がどのような問題点を抱えているかを明らかにしたうえで、当該問題にいかに対処すべきかを解釈論あるいは立法論として検討するものである。
 初めに、インシュアテックの一形態であるP2P 保険やインデックス保険を取り上げ、保険の概要等を示したうえで、保険法および保険業法適用の可能性を検討し(第1章、第2章)、次に、保険契約や保険給付に利用されるスマート・コントラクトについて契約上の論点や問題点を分析する(第3章)。続いて、インシュアテックによって、保険契約者等に関するリスク情報について保険者自らが大量収集する事態(「逆転した情報の非対称性」)が想定されることを前提に、これに対応するような法解釈(場合によっては立法)はどのようものかを分析する(第4章)。さらに、リスク情報に関わるビッグデータのAI分析を用いて保険引受を行う際の保険法上の問題、告知義務や危険増加(減少)規整の問題等について詳述する(第5章)。また、マイクロ保険を取り上げて、インシュアテックによって日本で普及していく可能性や想定できる保険商品例を検討し、その際生じ得る保険契約法および保険監督法上の論点を検討する(第6章)。最後に、インシュアテックが保険法学全体にどのような影響を与えるかを考える。その際の手がかりとして、従来保険制度が基礎としてきた「信頼」について考察し、「信頼」がインシュアテックによってどのように変容していくかに焦点を合わせて分析し、その結果を踏まえて保険法学の今後の方向性を検討する(第7章)。
 なお、本書は、2020年に刊行した『インシュアテックと保険法』(保険毎日新聞社)を基礎に、その後の状況変化や意見・批判、研究の成果を踏まえて前著内容を相当程度に改訂するとともに、新たらしい論点に関する記述を追加しその部分が本書の半分程度を占めるため、前著の改訂版とはせずに、新たな書籍として刊行した。
 インシュアテックの取組みが喫緊の課題となっているなか、本書は、関係者にとって対策や研究を進めるための必読の実務書・学術専門書といえる。

●主要目次
序 章 インシュアテックの進展
第1章 「保険」概念に対する挑戦―P2P保険の「保険」該当性― 
 1.P2P保険の概要
 2.P2P保険の理論的分類と定義
 3.P2P保険と保険業界
 4.経済的な保険の該当性
 5.保険法における「保険」該当性
 6.保険業法における「保険」該当性
 7.小 括
第2章 損害保険における損害填補原則の再検討―インデックス保険の「損害保険契約」該当性― 
 1.定額給付型損害保険商品の分類
 2.定額給付型損害保険商品例の検討
 3.定額給付型の損害保険契約が認められる理論的根拠
 4.小 括
第3章 スマート・コントラクト保険―保険契約の自動締結および自動執行―
 1.スマート・コントラクト
 2.保険契約の成立
 3.保険契約の変動
 4.保険給付
 5.保険契約の終了
 6.コード契約の契約としての有効性
 7.小 括
第4章 保険会社による情報の大量収集―「逆転した情報の非対称性」― 
 1.告知義務規整
 2.危険増加規整
 3.危険減少規整
 4.保険期間中のリスク情報に基づく保険料調整
 5.小 括
第5章 ビッグデータのAI分析―間接的なリスク関連要因を用いた保険引受― 
 1.ビッグデータのAI分析による間接的なリスク関連要因の抽出
 2.設 例
 3.告知義務規整
 4.危険増加規整
 5.危険減少規整
 6.小 括
第6章 マイクロ保険―日本でのマイクロ保険普及に向けて―
 1.はじめに
 2.マイクロ保険の途上国における普及状況
 3.日本におけるマイクロ保険普及の可能性
 4.保険契約法・保険監督法上の論点
 5.小 括
第7章 保険制度における「信頼」の変容―これからの保険法学―
 1.保険制度における「信頼」
 2.情報社会の急速な進展による「信頼」の変容
 3.保険法学の新たな方向性
参考文献/初出一覧/判例索引/事項索引 

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