これからの自動運転自動車時代における自動車事故被害者救済策の切り札と目されているのが、ノーフォルト自動車保険制度である。すでに世界各国で様々な類型が存在するが、加害者の過失責任に基づく賠償という構成をとらず、ファースト・パーティ型保険を強制付保とすることで、すべての被害者を救済可能とする。
本書は、世界各国のノーフォルト自動車保険制度の歴史から現状と課題に至るまでを詳細にまとめるとともに、わが国におけるノーフォルト自動車保険の現状と従来の研究史の検証、現行の自賠責保険制度のノーフォルト化の検討などからなる、今までになかったノーフォルト自動車保険の包括的研究書であり、著者のライフワークの集大成。
特に、近年急速に普及してきたわが国初の本格的なノーフォルト自動車保険である人身傷害保険については、その法的性質と商品性のありかた、疾病との関係での諸問題などを詳細に検討し、ノーフォルト自動車保険としての今後のありかたについて独自の提案を行っている。
自動運転時代をむかえてのこれからの自動車保険制度に関心を寄せる人には見逃せない1冊。
■本書の主な内容:
序論 ノーフォルト自動車保険制度総論
第1部 諸外国のノーフォルト自動車保険制度
第1章 各国制度の概要
第2章 米国におけるノーフォルト自動車保険制度の現状と課題
第3章 ニュージーランド事故補償制度の現状と課題
第4章 欧州におけるノーフォルト自動車保険制度提案
第2部 人身傷害保険の諸相
第1章 人身傷害保険概論
第2章 人身傷害保険の法的性質と商品性のあり方
第3章 人身傷害保険と疾病
第3部 わが国におけるノーフォルト自動車保険制度
第1章 現行制度の概要と課題
第2章 わが国におけるノーフォルト自動車保険制度提案の系譜
第3章 自賠責保険制度のノーフォルト化の検討