■本書の内容
生命保険や損害保険の業務を進めるなかで起きる約款や社内規定も予定していないような想定外の事態やトラブルに対し、保険会社、代理店、担当者はどう対処したらよいか?―
本書の内容は大きく「理論編」と「実践編」の2編により構成しています。「理論編」では、保険実務で遭遇するトラブルについて全体として法的な側面から捉え、民法や保険法が規定する内容や解釈理論を中心に概括的に解説しています。さらに「実践編」では、実務上のさまざまなトラブルについて「保険募集に関わるトラブル」「保険料に関わるトラブル」「契約内容の変更・更新に関わるトラブル」「保険給付に関わるトラブル」の4つのシーンに分け、全54件の想定『事例』を素材として、先の「理論編」で取り上げた法的理論に基づいて問題の解決に必須な法的知識や対応方針などを具体的に分かりやすく説明しています。現実のトラブルに直面した場面で、事案に適った適切で正しい考え方や対処への道標を提供します。本書の「理論編」「実践編」を習得することによって保険実務における基本的な法的思考を身につけることができます。
なお、『事例』の多くは過去の裁判例を参考にして作成してあり、実務的な解説の裏付けとして裁判所の考え方も併せて理解が可能となります。
また、本書巻末には、保険法(全文)などの重要法文を収録するほか、保険法に散在する定義規定を一括まとめた「定義規定一覧」や同法の読替え規定、生・損保契約と傷害疾病保険に係る条文規定の相互の関連が一目で分かる「対比表」にまとめた「損害保険契約/傷害疾病損害保険契約対比表」「生命保険契約/傷害疾病定額保険契約対比表」など、条文に一工夫を加えて読者利用の便宜ための「付録・索引」を収録しました。
保険・共済の実務家をはじめとして法曹関係者や保険利用者にも有用な一冊といえます。
■主要目次
理論編
第1章 契約の有効性と内容
1.保険契約の成否
2.契約の絶対的な無効
3.保険契約の合意内容
4.一応は有効に成立した契約の否定
5.補論:代理と代理商
第2章 損害賠償
1.損害賠償責任の発生根拠
2.損害賠償責任が発生する可能生のある保険トラブルの主な類型
3.不法行為による損害賠償責任の発生要件
4.故意・過失による他人の権利・利益の侵害
5.因果関係
6.損害と損益相殺
7.過失相殺
8.加害者以外の責任主体
9.責任主体間の内部関係
実践編
第1章 保険募集に関わる保険トラブル
1.保険募集時の説明・表示
2.告知義務・契約(始期)前発病・被保険者同意
3.高齢者との契約締結
4.無断契約
5.借名契約(名義借り契約)
6.架空名義契約(作成契約)
第2章 保険料に関わる保険トラブル
1.保険料納付方法の案内漏れ
2.保険料の立て替え
3.過少な保険料の提示誤りに基づく保険契約
4.過大な保険料の提示誤りに基づく保険契約
第3章 契約内容変更と契約更新に関わる保険トラブル
1.契約内容変更
2.契約更新
第4章 保険給付に関わる保険トラブル
1.契約締結手続完了前の保険事故発生
2.保険給付手続における保険者側の説明誤り
3.保険金の誤払
4.賠償責任保険 ・
[付録・索引]
1.重要な関連法文
2.裁判例索引
3.事項索引