■本書の内容
 個人の日常生活では、自転車事故、スポーツ事故、水漏れ等の住宅事故、飼っているペットの事故をはじめ監督義務者責任や名誉毀損・プライバシー侵害など、誰でも加害者になるリスクがある。個人がこうした損害賠償責任を負った場合に、その補償をしてくれるのが「個人賠償責任保険」である。
 本書では、この個人賠償責任保険について、導入の「保険編」では約款の各規定や文言の解釈を行い保険の仕組みをわかりやすく解説したうえで、「責任編」では、実際の判決文のポイントを押さえ、多くの裁判例を比較しながら事故類型ごとに事故の特徴や注意義務の根拠となりうる法律・ガイドラインをはじめ、責任が否定される事情や過失相殺など、実務に役立つ解説となっている。さらに実務でよく問題となる事例については、保険会社社員からのヒアリングも行っている。
 個人賠償責任保険の仕組みを初めて学ぶ方から、実際の保険金支払いの実務担当者に至るまで幅広く活用できるお勧めの一冊である。

■主要目次
【保険編】
第1章　個人賠償責任保険の概要
第2章　個人賠償責任保険に適用される法律
第3章　個人賠償責任保険の約款の仕組み
第4章　個人賠償責任保険の主な規定
第1節　保険金を支払う場合
第2節　被保険者
第3節　保険金を支払わない場合
第4節　支払保険金の計算・費用
第5節　事故発生時の義務
第6節　当社による協力
第7節　当社による解決
第8節　損害賠償請求権者の直接請求権
第9節　保険金の請求
第10節　保険金の支払い
第11節　請求権代位
第12節　先取特権

【責任編】
第1章　個人の賠償責任
第1節　損害賠償責任
第2節　不法行為に基づく損害賠償（一般の不法行為）
第3節　特殊の不法行為
第4節　特別法における損害賠償責任の規定
第5節　損害賠償責任と個人賠償責任保険との関係
第2章　個人賠償責任事故
第1節　暴 行 等
第2節　スポーツ事故
第3節　自転車加害事故
第4節　歩行者加害事故
第5節　ペット事故
第6節　住宅事故
第7節　名誉毀損・プライバシー侵害等
第8節　監督義務者等の責任
●付録　日常生活賠償特約

【編著者略歴】
古笛　恵子（こぶえ・けいこ） 　　　　　　　　
弁護士（コブエ法律事務所）
中央大学法科大学院客員教授、早稲田大学法務研究科兼任講師
日本交通法学会理事、日本賠償科学会理事、日本損害保険協会監事
中央大学法学部法律学科卒業
【主な著書】
『新版 注解交通損害賠償算定基準』（共著、ぎょうせい、2022）、『実務に役立つ交通事故判例――東京地裁民事第27部裁判例から』（監修、保険毎日新聞社、2022）、『交通事故医療法入門』（共編、勁草書房、2021）、『判例にみる高齢者の交通事故』（日本加除出版、2020）、『交通事故における素因減額問題〔第2版〕』（共編、保険毎日新聞社、2020）、『事例解説 保育事故における注意義務と責任〔改訂版〕』（新日本法規、2020）、『交通事故事件対応のための保険の基本と実務』（共編、学陽書房、2018）、『後遺障害等級認定と裁判実務〔改訂版〕』（共著、新日本法規、2017）

嶋寺　基（しまでら・もとい）
弁護士（弁護士法人大江橋法律事務所パートナー）、ニューヨーク州弁護士
京都大学法学部卒業、カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修了（LL.M.）
法務省民事局参事官室にて保険法の立法を担当