■本書の内容
損害保険の機能、保険料構造、保険のリスクプーリング効果、規制の形態と必要性、リスクの保険可能性とその補完の仕組み、リスクマネジメントにおける損害保険の位置付けなど、損害保険全般について学ぶ入門書です。
第1章から第3章までは、保険の利用者(需要者)の視点から、保険のリスク移転機能と保険会社の役割について、さらに損害保険を支える法律や損害保険業に関わるさまざまな当事者、保険料に関わる原則と統計法則について、そして実際にさまざまな種類の損害保険がどのような性質のリスクに対処可能であるのかを解説します。
第4章および第5章では、保険の提供者(供給者)の視点から、損害保険市場の特徴を分析し、規制による公的介入の必要性を理解したうえで、損害保険市場において実際にどのような方法でリスクの保険可能性を補完しているのかを解説します。
第6章から第8章は、リスクマネジメントの視点から、企業や組織が損害保険の利用を含めて、さまざまな方法や活動でどのようにリスクに対処すべきか、リスクマネジメントを実行していく際のプロセスについて解説します。
さらに、28のコラムでは、損害保険市場における新たな事象に関する分析や議論について取り上げており、損害保険実務と企業リスクマネジメントに携わるビジネスパーソンへお勧めの一冊です。
■本書の構成
第1章 保険の機能と対象リスク
第2章 損害保険を支える仕組み
第3章 損害保険の種類と補償内容
第4章 損害保険市場と保険規制
第5章 リスクの保険可能性
第6章 リスクマネジメントと損害保険
第7章 損害保険の補完・代替的リスクファイナンス
第8章 リスクマネジメントのプロセス
Column 1~28
【著者略歴】
諏澤 吉彦(すざわ・よしひこ)
京都産業大学経営学部教授、日本保険学会評議員、生活経済学会理事 他。
横浜市立大学文理学部卒業、St. John’s University, Peter J. Tobin College of Business, School of Risk Management経営学修士課程・理学修士課程修了、経営学修士(優等学位)・理学修士。一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。
損害保険料率算出機構勤務、京都産業大学准教授、St. John’s University, Visiting Research Scholarなどを経て現職。
【主な近著】
『リスクファイナンス入門』(中央経済社、2018年)、『リスクマネジメントと損害保険』(共著、損害保険事業総合研究所、2020年)、『保険事業の役割 規制の変遷からの考察』(中央経済社、2021年)、『はじめて学ぶ会計・ファイナンス』(共著、中央経済社、2021年)
「Insurtechによるリスク評価の精緻化と保険選択への影響」『損害保険研究』80巻3号(2018年)79-100頁、「分離均衡モデルに基づく公的年金制度と私的年金保険のあり方に関する考察」保険学雑誌644号(2019年)107-127頁、“Risk Evaluation Factor of Health Promotion Medical Insurance: An Analysis Focusing on Cost of Telematics and Policyholder’s Coverage Selection,” Asia-Pacific Journal of Risk and Insurance, Vol.15, Issue 2, pp.201-218, 2021、「パラメトリック保険のレジリエンスファイナンスとしての機能に関する考察―自然災害対応力・回復力の向上を目指して―」損害保険研究83巻2号(2022年)1-35頁、「生活習慣をリスク指標とした健康増進型医療保険が生命保険会社の事業価値に及ぼす影響」(共著)生命保険論集220号(2022年)69-100頁(共著)、「健康増進型医療保険が保険会社の財務状況に及ぼす影響―健康保険組合データからの分析―」(共著)保険学雑誌659号(2022年)207-239頁、「健康経営推進に向けた健康増進型医療保険の役割」(共著)証券アナリストジャーナル61巻7号(2023年)43-51頁