2011年3月11日、未曽有の大災害は日本を震撼させ、損害保険業界に激震をもたらした。
保険契約者・被災者からの相談対応は? 地震、津波、液状化等の損害調査活動の方法は? 業界決定に関わる周知や情報の発信は? そして何より被災者の生活再建への一刻も早い保険金支払は?
地震保険への信頼が揺るげば、損保の信頼も失墜する―。日本損保協会が震災直後に設置した地震保険対策本部(中央・現地)で指揮に当たる二人の事務局長と関係者たちは、時を争う状況の中で対応を迫る数々の問題にどのように立ち向かい、動き、葛藤し、そして決断していったのか…。本書は、緊迫した現場で繰り広げられた闘いをルポルタージュする。
著者は、保険毎日新聞記者として大規模自然災害現場と保険をテーマに広く取材を続け、また、社会と保険の問題などにも独自の視点で取り組むなか、東日本大震災において「地震保険対策本部」で指揮をとった事務局長二人を中心にインタビューや現地取材を重ね、保険毎日新聞紙上に連載して話題を呼んだドキュメンタリーを、この度一冊にまとめ書籍化!
■本書の内容:
まえがき―試練のハードル
第1章
車窓
ルート246
仙台2時46分
白い闇
津波
第2章
試練の予感
M9・0
蛍
渦巻く不安
違和感
問われる真価
挫折
スカイツリー
プロット
第3章
国難
破壊された日常
第1回現地対策会議
果てしない課題
霞が関
大きな山
第4章
地震保険創成記
飛べないセスナ
そして、宇宙へ
判読
住所と地番
政治家
あさイチ前夜
スタジオ
迷走する台本
第5章
異論
公表
天と地
3000円の攻防
空(カラ)の骨壺
ある通達
訪問者
言葉の重み
正論
静寂の音
がれきの道
第6章
回想・ある女性の死
反論
絶食
孤独な闘い
破産
ギャップ
放射能の壁
不思議な体験
沈下
託された課題
鑑定人不足
波紋
不整脈
最終章
2年後
重い未来
一条の光
気概
悲劇の防災庁舎
遅れた避難
慟哭
あとがき―「二つの涙」
■著者紹介:
東京都台東区生まれ。都立石神井高校、明治大学商学部卒(昭和51年)。
その後、コピーライターを経て保険毎日新聞社記者に。特に東日本大震災以降、熊本地震、大阪府北部地震、西日本豪雨災害など大規模自然災害現場と保険をテーマに取材を続ける。また、独自の視点で社会と保険の課題を掘り下げる「記者の視点」では、Yナンバー事故やGID(LGBT)と保険、民泊保険などの問題にも取り組む。
全国で講演を手掛けるほか、著書に『証言 東日本大震災~1兆2000億円の地震保険金』、全国の地震碑を巡り歩いた『石碑は語る』がある。日本ペンクラブ会員。