ドイツの税関にご注意!
1月17日、米国のアクション俳優で元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏がミュンヘン空港の税関に摘発され、3時間拘束された。彼は約5万ドル(700万円、1ドル=140円換算)のスイス製の腕時計を持っていた。これはシュワルツェネッガー氏が気候変動対策のキャンペーンの一環として、オーストリアでオークションにかけるために米国から持参したもの。だが、彼はこの腕時計を税関に申告しなかったために税関に摘発された。ドイツ税関は「この時計は米国から持ち込まれ欧州に残るのだから、関税をかける必要がある」と説明している。
日本ではあまり知られていないが、ドイツの空港の税関は世界で最も厳しい。これまでも、日本のサッカー選手がローレックスの腕時計を申告しなかったためにドイツの空港の税関に摘発されたことがある。ある中国人のビジネスマンは、ミュンヘン空港に到着した際に、25万ユーロ(4000万円、1ユーロ=160円換算)の現金を持っていたのに申告しなかったために、現金を没収された上、罰金を科された。
2012年10月にフランクフルト空港では、日本の女性バイオリニストがストラディバリウスを申告しなかったために差し押さえられた。このバイオリンの価格は約6億円と推定され、税関は1億2000万円の関税の支払いを要求した。また、12年8月にもフランクフルト空港で税関が、女性バイオリニストのバイオリンを差し押さえた。この時にはショイブレ財務大臣(当時)が介入し、楽器はお情けでバイオリニストに返還された。ある日本人の音楽家は、ミュンヘンに着いた時に高価なバイオリンの弓を申告しなかったために関税法違反で摘発され、高額の罰金を取られた。
高価な楽器やビデオカメラなどを事前に税関に申告するのは基本中の基本。これを怠る人は、国際的な舞台で活躍するプロとはいえない。ちなみに、ドイツの税関は、外国で新しく買ってきたものだけではなく、何年も前に買ったものでも申告するよう要求する。
フランスやイタリアに比べると、ドイツの空港の税関ははるかに厳しい。今ドイツは深刻な財政難なので、今後税関検査はさらに厳しくなると思う。特に日本人、中国人などアジア人は税関が注目するターゲットなので注意が必要だ。例えば、ミュンヘン空港に日本からの便が着く時間には、税関職員が出口付近に立って、抜き打ちでカバンを開けさせて検査をしている。ドイツへ来る時にはご注意下さい!
(文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
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