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Book Details 保険判例 2011

保険判例 2011
上智大学名誉教授 石田 満 編
発行日
2011/06/02
判型/ページ数
A5判/446頁
価格
5,500円(税込) 5,000円(税抜)
ISBNコード
9784892930416
本書の内容

保険判例等研究会(会長=石田満上智大学名誉教授)が積み重ねてきた気鋭の法律家、実務家による判例研究から2010年度に保険毎日新聞に登載してきた最新の判例評釈24本を第一部に収録している。第二部「新保険判例の動向」では責任・新種・海上<運送>関係で15件、傷害・生命関係で8件、火災関係で5件、自動車関係で20件、「総合」で3件、合計51件の判例についてコメントとともに主要箇所を抄録している。

<内容>

第一部 判例評釈

 (評者の所属・肩書き等は執筆当時のもの)
▽保険契約者の保険事故招致(放火)と保険会社の保険金支払責任(東京高裁平成21年10月28日判決)石田満(上智大学名誉教授)
▽税理士賠償責任保険の免責条項と相続税の更正請求の懈怠(東京高裁平成21年1月29日判決)梅村悠(流通経済大学法学部准教授)
▽政府保障事業によりてん補すべき損害額(自賠法72条1項)につき将来の労災年金給付分を控除して算定すべきとされた事例(最高裁平成21年12月17日第一小法廷判決)遠山聡(熊本大学法学部准教授)
▽団体傷害保険金請求が権利濫用に当たり、クリーンハンドの原則に照らし許されないとされた事例(大阪地裁平成19年7月26日判決)伊村健二朗(弁護士)
▽飲酒運転による交通事故について、運転者とともに飲酒し同乗しなかった者に民法719条2項の責任が肯定されたとともに、運転者の妻には同責任が否定された事例(東京地裁平成18年7月28日判決)菊地秀典(大宮法科大学院大学教授)
▽簡易生命保険の約款別表に定める「その他の子宮観血手術(人工妊娠中絶を除く。)」の意義(最高裁平成21年10月1日第一小法廷判決)清水太郎(AIGスター生命保険金査定部)
▽頭蓋内出血による溺死の「外来の事故」性―疾病免責条項のない災害死亡割増共済契約の場合(仙台地裁石巻支部平成21年3月26日判決)戸出正夫(元白鴎大学法科大学院教授)
▽接合(偽装)自動車の売買契約が無効となった場合の同時履行の関係(最高裁平成21年7月17日第二小法廷判決)丸山一朗(損害保険料率算出機構)
▽保険代理店の代表者がスーパーZ傷害保険契約申込書を悪用して顧客から金員を詐取したことにつき、所属保険会社の保険業法283条の責任が否定された事例(東京高裁平成20年11月5日判決)石田満(上智大学名誉教授)
▽養老保険契約の満期保険金に係る一時所得の計算上控除できる保険料の範囲(福岡高裁平成21年7月29日判決)寺澤真一
▽生命保険における自殺免責条項(仙台地裁平成21年11月20日判決)手島宏晃
▽弁護士賠償責任保険契約における保険事故と損害との因果関係-控訴期間の徒過による示談金の支払の場合(東京地裁平成21年1月23日判決)石田清彦(東海大学法学部教授)
▽弁護士賠償責任保険免責条項にいう「他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為に起因する賠償責任」の意義(①事件大阪高裁平成19年8月31日判決/②事件高松高裁平成20年1月31日判決)小野寺千世(東海大学法学部教授)
▽賠償責任保険における生産物特約条項・普通保険約款による免責の可否(大阪高裁平成21年9月11日判決)吉川栄一(上智大学法学部教授)
▽柔道整復師の施術費認定にあたり、施術部位数、施術期間について大幅に減額した上で、施術費について労災算定基準の上限額(保険会社の目安料金)に基づき算定した事例(大阪高裁平成22年4月27日判決)丸山一朗(損害保険料率算出機構)
▽他車運転危険担保特約の免責条項にいう「正当な権利を有する者の承諾を得ないで」他の自動車を運転中に生じた事故につき保険会社の免責が認められた事例(大阪地裁堺支部平成21年9月30日判決)出口正義(筑波大学人文社会科学研究科教授)
▽自動車共済契約における傷害と死亡との因果関係―搭乗者傷害条項・自損事故条項について(東京高裁平成21年4月28日判決)石田清彦(東海大学法学部教授)
▽後遺障害が生じた場合における社会保険給付の元本への充当(【第1事件】最高裁平成22年9月13日第一小法廷判決/【第2事件】最高裁平成22年10月15日第二小法廷判決)戸出正夫(元白鴎大学法科大学院教授)
▽傷害特約付き所得補償保険における約款の効力と偶然性の主張立証責任(大阪高裁平成21年9月17日判決)梅村悠(流通経済大学法学部准教授)
▽労災事故における著しい外貌の醜状障害の男女間の等級差が憲法14条1項(法の下の平等)に違反するとされた事例(京都地裁平成22年5月27日判決)田中秀明(損保ジャパンひまわり生命)
▽集合物譲渡担保権者の共済金請求権に対する物上代位権の行使(最高裁平成22年12月2日第一小法廷決定)石田満(上智大学名誉教授)
▽遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税が取り消された事例(最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決)寺澤真一
▽自動車の代金を立替払いした信販会社は、購入者において民事再生手続が開始した場合、自動車の引渡を求めることができるか(最高裁平成22年6月4日第二小法廷判決)
菊地秀典(大宮法科大学院大学教授)
▽正常な運転ができないおそれがある状態での自動車運転等(【第一事件(シンナー吸引)】静岡地裁沼津支部平成21年11月30日判決/【第二事件(酒気帯び運転)】大阪地裁平成21年5月18日判決)田爪浩信(日本大学法学部非常勤講師)

第二部 新保険判例の動向

責任・新種・海上〈運送〉保険関係

1 東京高判平成19年2月28日金融・商事判例1322号45頁(弁護士賠償責任保険の弁護士報酬相当額の請求否定)
2 大阪高判平成19年8月31日金融・商事判例1334号48頁(弁護士特約条項の免責条項)
3 東京地判平成20年1月11日判例タイムズ1284号296頁(医師賠償責任保険金の請求)
4 高松高判平成20年1月31日金融・商事判例1334号54頁(弁護士特約条項の免責条項)
5 東京地判平成20年3月5日判例タイムズ1306号293頁(遊泳中の者の漁船との衝突)
6 東京高判平成20年4月30日金融・商事判例1304号38頁(建築家賠償責任保険の債務者(被保険者)の免責許可決定)
7 東京地判平成20年7月22日判例タイムズ1297号256頁(税理士賠償責任保険金請求-相続税の更正手続の遅滞認容)
8 東京地判平成20年10月27日判例タイムズ1305号223頁(船舶の衝突にかかる分担金請求権)
9 名古屋高判平成20年10月31日金融・商事判例1312号50頁(税理士賠償責任保険の免責条項の過少申告)
10 東京地判平成21年1月23日判例時報2046号143頁、判例タイムズ1301号226頁(弁護士賠償責任保険-控訴期間従過による弁護士の示談金の支払請求棄却)
11 東京高判平成21年1月29日判例時報2049号73頁、判例タイムズ1306号301頁(税理士賠償保険金の請求に縮少てん補条項の適用)
12 大阪地判平成21年2月16日判例タイムズ1289号65頁(労災保険の休業損害・障害一時金保険金の損害賠償債務の元本充当)
13 東京地判平成21年2月19日判例時報2059号72頁(税理士の弁護士法人に誤回答)
14 仙台地判平成21年3月19日判例時報2052号72頁(船舶の公法上での衝突と日本の国際裁判管轄権否定)
15 鹿児島地名瀬支判平成21年10月30日判例時報2059号86頁(公設事務所の弁護士の説明義務違反)

傷害・生命保険関係

1 福岡地判平成21年1月27日判例タイムズ1304号179頁(全保険料が所得税法34条2項の「収入を得るために支出した金額」に当たる)
2 大阪地判平成21年2月27日判例時報2062号148頁(自殺したと認めるに十分な証拠がない)
3 仙台地石巻支判平成21年3月26日判例時報2056号143頁(用水路に転落し溺死)
4 名古屋高判平成21年4月24日判例時報2051号147頁(保険金受取人〈未成年者〉の親権者の被保険者殺害)
5 大阪高判平成21年9月17日金融・商事判例1334号34頁(保険約款が信義則・消費者契約法10条違反否定)
6 東京高判平成21年9月30日判例タイムズ1317号72頁、金融・商事判例1327号10頁、保険毎日新聞2009年11月25日(16202号)4頁(生命保険の失効約款)
7 最一小判平成21年10月1日(平成21年(受)第540)判例時報2067号27頁、判例タイムズ1317号106頁、保険毎日新聞2010年4月2日(16282号)4頁(簡易生命保険特約約款別表の手術保険金の支払対象となる「子宮観血術」)
8 仙台地判平成21年11月20日(平成20年(ワ)第1035号)自保ジャーナル1822号160頁(自殺の中断後の窒息死)

総合

1 東京高判平成20年11月5日判例タイムズ1309号257頁(保険代理店の顧客の所属保険会社に対する損害賠償請求否定)
2 東京高決平成21年5月20日(平成21年(ラ)第580号)保険毎日新聞2009年9月9日(16153号)4頁(所属保険会社の代理店委託契約の解約)
3 最三小判平成22年7月6日判例時報2079号20頁、判例タイムズ1324号78頁、
金融・商事判例1354号48頁、自保ジャーナル1830号1頁(生命保険年金の二重課税)

火災保険関係

1 山口地下関支判平成21年2月18日判例時報2058号115頁(保険会社の倉庫の焼損の故意免責の主張否定)
2 東京地判平成21年5月13日判例タイムズ1311号247頁(火災が原告の故意により生じたと認められない)
3 水戸地判平成21年10月7日判例時報2067号142頁、自保ジャーナル1823号175頁(火災が保険契約者またはその者の意を受けた関係者の故意によるものと推認)
4 仙台高判平成21年10月23日判例時報2073号121頁(保険契約者またはその関係者の意思の連絡のある者の放火の高度の蓋然性)
5 東京高判平成21年10月28日判例時報2064号136頁、判例タイムズ1324号235頁、金融・商事判例1334号28頁)(保険契約者の建物の放火)

自動車保険関係

1 大阪地判平成20年3月12日判例時報2079号118頁(交通事故による被保険者の死亡が自殺とされた事例)
2 大阪地判平成20年12月15日判例タイムズ1330号176頁(将来の介護費用の認定)
3 大阪地判平成21年2月16日判例タイムズ1332号103頁(人身傷害保険条項に基づく保険金支払による損害賠償請求権喪失の有無)
4 札幌地判平成21年2月26日判例時報2045号130頁(小規模会社代表者の逸失利益)
5 大阪地判平成21年5月18日判例時報2085号152頁、判例タイムズ1321号188頁(アルコールの影響により正常な運転ができない状態での追突事故)
6 福岡地小倉支判平成21年8月21日判例時報2074号91頁、判例タイムズ1326号245頁(追突事故により脳脊髄液減少症否定)
7 名古屋地判平成21年9月11日判例時報2065号101頁(死亡慰謝料の増額事由)
8 大阪地堺支判平成21年9月30日判例時報2066号126頁、判例タイムズ1316号238頁(他車運転危険担保特約の免責条項)
9 福岡高判平成21年10月2日判例時報2059号139頁(「急激かつ偶然な外来の事故」による死亡否定)
10 鳥取地判平成21年10月16日判例時報2071号89頁(大学院生である医師の居眠り運転死亡)
11 名古屋高判平成21年11月18日判例時報2072号146頁(自殺行為と推認)
12 東京高判平成21年11月25日判例時報2065号156頁、判例タイムズ1316号226頁、金融・商事判例1334号15頁(いたずらによる自動車の損傷)
13 静岡地沼津支判平成21年11月30日判例時報2074号151頁(シンナー等の影響で正常な運転ができない状態での運転)
14 最三小判平成22年1月26日(平成20年(受)第1419号)判例時報2076号47頁、判例タイムズ1321号86頁、自保ジャーナル1819号5頁(中間利息の控除の方法としてホフマン方式を採用したことが不合理といえない、とされた事例)
15 福岡高判平成22年2月25日判例タイムズ1331号206頁(低髄液圧症候群等の傷害否定)
16 東京地判平成22年3月4日判例時報2077号68頁(運転手の低髄液圧症候群否定)
17 大阪高判平成22年4月27日自保ジャーナル1825号9頁(柔道整復師の施術料)
18 最二小判平成22年6月4日民集64巻4号1107頁、判例時報2092号93頁、判例タイムズ1332号60頁、金融・商事判例1353号31頁、金融法務事情1910号68頁、自保ジャーナル1829号1頁(自動車売買代金の立替払い者(信販会社)の別除権否定)
19 東京地判平成22年6月24日判例時報2082号149頁(自動車の追突・海面への転落事故が故意に起こした蓋然性が高いと認められる)
20 名古屋地判平成22年7月2日判例時報2094号87頁(交通事故の被害者の収入の減少がなくても逸失利益の損害が認められる)