住宅資金融資の担保として、火災保険の保険契約者や被保険者の保険金請求権に担保権を設定債権担保は古くから行われている。昭和54年に保険質権の解説書として刊行された「損害保険による質権設定の実務相談」は、何度かの改訂を施しながら現在に至っているが、保険法の改正、社会通念の変化に伴う解釈や裁判例の変化を反映しきれなくなりつつあった。
　本書は、保険法や改正商法、その他法令、判例の根拠や実務上の取り扱いを盛り込み、前書「質権設定の実務相談」を全面的に書き改めている。
　実務上不可欠なケース・スタディーはもとより、保険担保に関する知識を体系的に学ぶ際にも冒頭から読み進めれば、裁判例や学説に触れながら順次学習が進められる構成に編集されている。

【本書の内容】

第1章　保険担保総論
第1節　保険担保としての質権
第2節　種々の保険担保(保険金からの優先弁済)
第3節　担保権者による保険担保の利用

第2章　質権総論
第1節　普通質権
第2節　根質権
第3節　保険金請求権の質入可能性

第3章　質権設定と承認請求と承認
第1節　質権設定の承認請求の意義
第2節　質権設定の合意・承認請求手続・承認手続
第3節　質権設定承認請求書の書式と記載要領
第4節　特殊な質権設定
第5節　保険証券
第6節　保険会社承認の効果
第7節　確定日付の取付け
第8節　保険料の支払

第4章　質権設定後の保険契約の変動・終了・更新
第1節　質権設定後の質権設定者の状況変化
第2節　質権設定後の保険の目的物の変動
第3節　質権設定後の保険契約の異動(契約内容変更)
第4節　保険契約の終了および更新(継続契約以外)
第5節　継続契約

第5章　質権設定後の質権の変動・消滅
第1節　質権の追加設定と質権の順位交換
第2節　被担保債権の譲渡に伴う質権の移転
第3節　間接融資における質権付債権の質入れや転質等
第4節　質権の消滅

第6章　保険金支払(質権の順位および他の権利との競合)
第1節　保険金の支払と質権の順位
第2節　質権と他の権利との競合

第7章　質権以外の保険担保
第1節　物上代位
第2節　保険金受取人指定
第3節　抵当権者特約条項付譲渡担保
第4節　単純譲渡担保
第5節　債権保全火災保険

付録1：各種書式
付録2：約款