うず
最後は人が決定
同窓で知人のK教授が定年退職し名誉教授となり、「最終講義」を行うとの知らせを受けて参観してきた。
講義は、教授の過去の職歴の振り返りからスタートして、専門のマーケティングにおける現代課題と展望を語る内容だった。拝聴したコラム子にとっても、すぐに保険業界との関連を想起することとなり、本当に充実した時間となった。以下、印象に残った講義内容を列記すると、
▽商品にはライフサイクルがあり、成熟期には販売当初の革新性、必然性は薄れ、消費者の選択も合理的で価格志向になる。
▽「○○社の△△」から単なる「△△」へと商品の“普通名詞化”が起こり、そのコンセプト・歴史や、関係する人や文化、思いが次第に見えなくなってくる。
▽顧客の維持は企業存続につながり、顧客の創造は企業成長につながる。
▽結局、商品とは“モノ”と“サービス”の組み合わせであり、顧客接点、サービスマーケティングミックスが重要となる。そして、顧客の商品への満足・不満にはまた、売る側の人間の満足・不満も大きく関係している。
▽今後、商品・顧客対応にIoT、AIがますます導入され、種々の意思決定にも大きく関与していくだろう。しかし、その最終的な決定は“ヒト”によってなされることに変わりはない。
どうだろう、一つ一つの発言が、保険業界の企業、商品、代理店、営業職員等の課題にぴったりと当てはまるのではないだろうか。古くは明治時代の保険の必要性の認識と保険会社の創業、その後の発展と新商品の開発販売、販売現場の実情、業界人の意識など、そして今後の将来展望を見る思いだった。(朗進)