生保協会 定例会見 永島会長が1年間を総括 就任の所信で表明した三つの取組結果報告 保険料控除拡充は大きな前進
生保協会の永島英器協会長は6月13日、同協会会議室で協会長として最後の定例会見を行った。会見では、永島協会長が1年間の取り組みを振り返り、「顧客本位の業務運営の推進」「国民一人ひとりの豊かな人生の実現に向けた取り組み」「持続可能な社会の実現に向けた取り組み」の三つについて報告した。この他、事務局から、同日開催された理事会で副会長、各委員会委員長が内定したこと、生命保険の役割や同協会の社会的責任に関する活動を多くの人に周知することを目的に毎年作成している「生命保険協会SR報告書2025」で2024年度の生命保険協会の社会的責任活動を公表したことが報告された。
永島協会長は、協会長としての就任の所信で表明した取り組みについて、生保協会ではこれまでに社会保障制度を補完する社会基盤としての使命を果たす活動を進めており、今後もさまざまな社会課題解決に貢献することで、顧客からの信頼を維持し、社会に役立つ業界であり続けたいという考えのもと、①顧客本位の業務運営の推進②国民一人ひとりの豊かな人生の実現に向けた取り組み③持続可能な社会の実現に向けた取り組み―の三つを軸に1年間積極的に取り組みを進めてきたと述べた。
一つ目の「顧客本位の業務運営の推進」については、これからも生保協会が顧客に確かな安心を提供し、社会の役に立ち続けるためには、顧客本位の業務運営が最も重要だと強調した。損保業界で発生した不適正事案によって金融審議会ワーキンググループが開催され、保険代理店などに対する体制整備義務の強化にかかる保険業法の一部を改正する法律が成立したが、生保協会でも、一連の議論を踏まえ実態把握を目的に保険代理店に対する便宜供与や出向に関するアンケートを実施し、出向者による情報漏えい問題についても調査を行い、会員各社に対して再発防止と個人情報の厳正な取り扱いにかかる取り組みを徹底することを要請したと述べた。
次に、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」については、各社の取り組みのフォローアップや意見交換を実施し更新したと説明。また、外貨建一時払保険における販売管理等態勢のさらなる強化に向けては、24年4月に改正した各種ガイドラインを踏まえ、会員各社に対して、フォローアップアンケートや意見交換会を実施し、各社の代表者に、自ら強いリーダーシップを発揮してあたるという強い決意を確認したことを報告した。
二つ目の「国民一人ひとりの豊かな人生の実現に向けた取り組み」については、これまでにも保険教育に関する教材や動画を作成してきたが、24年度は、保険教育に関する既存コンテンツの認知度向上に向けたPDCA対応方針を策定しサイトをリニューアル。また、公的個人認証サービスの利活用のさらなる拡大に向けてプラットフォーム事業者と共同し、会員各社の導入負担を軽減する仕組みを構築し、25年2月に実施したアンケートでは、公的個人認証サービスを活用していると回答した会社が24社になったと報告した。
さらに、税制改正要望の結果について、26年(令和8年)の所得税において、子育て世代を対象にした生命保険料控除の拡充が実現し、「2010年以来15年ぶりの拡充となることから、国民の自助努力を促進する観点からも大きな前進だ」との見方を示した。
三つ目の「持続可能な社会の実現に向けた取り組み」については、サステナビリティに関するハンドブックの更新などを通じて、会員各社に対する情報提供や勉強会の開催に加え、業界の取り組みをまとめた顧客向けのリーフレットを作成したと報告。また、Japan Weeks期間中のシンポジウムで生保業界における資産運用立国の実現に向けた取り組みについて情報発信を行ったと報告した。
この他、生保協会が顧客の信頼を維持し、健全に発展していくための基盤整備にも取り組むとともに、国際活動に関する情報発信を強化してきたとした上で、「1年間でこれらの取り組みを前進させることができたのは関係各社の支援・協力の賜物だ」と謝辞を述べた。
質疑応答では、「次期協会長の高田幸徳氏に期待すること」という記者からの質問に対して、「高田次期協会長の力強いリーダーシップのもと、引き続き、お客さまから信頼を得られる業界になるとともに、さらなる発展に向けた取り組みが促進することを期待している」と回答した。
2016年の初開催以降、新型コロナウイルス感染症の影響で中断した年を除き、今回が8回目の開催となった。南海トラフ巨大地震などの自然災害が危惧される中、毎年、人気が高まっており、この日は過去最多の応募者となった。
防災・減災ピクニックは、建築学者、地震工学者でマスコミにも登場する名古屋大学の福和伸夫名誉教授のナビゲートの下、名古屋大学博物館や減災館の見学、同大学キャンパスツアー、プリンやチョコレート菓子を使った地震の揺れの実験など、家族が楽しみながら防災・減災を学べることで定評がある。
【午前9時――名古屋大学博物館ツアー】
防災・減災ピクニック参加者の親子が名古屋大学博物館(古川記念館)に集まった。この博物館は東宮御所や東京国立近代美術館など昭和期の数多くの著名な建物を設計した建築家・谷口吉郎氏によるもので1965年に建てられた。当初は図書館として使われていたが2001年に資料館となった。館内にはマッコウクジラの巨大な骨格標本や、過去1000年の環境変動が記された日本最大の木曽ヒノキの輪切り標本が展示されているほか、御嶽山噴火の噴石で壊れた山小屋の壁面(一部)も見学することができる。
30分間の博物館ツアーを前に、損保協会中部支部の及川清志事務局長は子どもたちに向け、「南海トラフ巨大地震は非常に大きな被害をもたらす可
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