東京海上HD 25年度第1四半期決算 修正純利益114%増5000億円に 利益計画達成に向け基調は順調
東京海上ホールディングスは8月7日、2025年度第1四半期決算を発表した。それによると、連結の修正純利益は5000億円で、政策株式売却益の増加を主因として、前年同期比2665億円(114.2%)増の大幅増益となった。除く政策株式売却益でも、国内損保事業での前年の兵庫雹災の反動や為替影響を主因に同648億円増の2344億円となる。連結経常収益は同17.9%増の2兆2685億円、正味収入保険料は同3.7%増の1兆3460億円、生命保険料は同4.5%増の816億円、連結経常利益は同113.3%増の5652億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同136.6%増の4668億円となった。
東京海上HDの修正純利益(除く政策株式売却益)の年初計画対比の進捗率は、国内損保事業での円高影響(+93億円)や、堅調な海外事業(主要拠点、+約80億円)等により33%と順調。政策株式売却益を含めた年初計画対比の進捗率は、同売却額が大きかったことから45%となった。
国内損保事業での自動車・火災保険の料率・商品改定効果は順調に発現中で、自動車保険は2025年10月の料率改定(+8.5%)により収益改善のペースを加速。海外事業の上半期(1~6月)についても年初計画を上回るペース(主要拠点の現地計画対比で+約280億円)で進捗しており、利益計画達成に向け基調は順調とした。
連結の正味収入保険料は、国内外でのレートアップ効果等により前年同期比4%増(除く為替で5%増)の増収と、年初計画対比でおおむねオンペースの進捗とした。
生命保険料は前年同期比5%増(除く為替で7%増)となった。通期予想増収率は除く為替で55%増としているが、同通期予想には前年の第4四半期に実施したブロック出再の影響を織り込んでいることから、第1四半期の進捗としてはおおむねオンペースとしている。
なお、自然災害の発生状況では、自然災害に係る正味発生保険金の第1四半期実績は前年同期比154億円減の527億円(税引前)で、内訳は、国内損保事業は前年の兵庫雹災の反動(▲495億円)により同500億円減少し40億円、海外事業はロサンゼルス山火事の影響により同346億円増加し487億円だった。
国内損保事業で、東京海上日動のActualの事業別利益は、円高影響(+93億円・税後)や自然災害が僅少だったことなどにより、前年同期比630億円増の733億円。通期予想1470億円に対する進捗率は49.9%と、過去5年平均(40.0%)対比で上回って推移した。国内自然災害・為替など一過性の影響等を除いたベースでは同66億円減の669億円で通期予想2212億円に対する進捗率は30.3%と、過去5年平均(39.8%)対比で下回って推移。これは自動車事故頻度の予想対比での上振れの他、25年10月料率改定効果が下期以降に発現する影響等によるものとしている。
保険引受利益(自然災害・各種準備金等の影響控除ベース)は前年同期比97億円減の612億円で通期予想の2440億円に対する進捗率は25.1%。堅調なトップラインの一方、自動車事故頻度の予想対比での上振れのほか、料率改定効果が下期以降に発現する影響等により、過去5年平均(34.9%)対比でやや低い進捗率にとどまった。
正味収入保険料は前年同期比4.8%増の6650億円。うち、民保合計では5.0%増(通期予想は4.1%増)の6198億円で、引続き自動車・火災を中心とするこれまでの料率・商品改定効果の発現等が増収をけん引した。
発生保険金は、円高進行に伴う外貨建支払備金積増負担の減少(▲115億円・税前)や自然災害が僅少だったことなどにより通期予想(0.4%減)を下回り、前年同期比15.4%減の3242億円となった。
E/I損害率、コンバインド・レシオは、発生保険金の減少に伴い通期予想を下回って推移。E/I損害率は同12.7ポイント低下し55.2%。事業費率は同0.7ポイント低下し31.0%。コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同13.3ポイント低下し86.2%だった。事業費率は、社費率・手数料率ともにおおむね通期予想の範囲内の推移。
資産運用等損益は同2871億円増益の4735億円で、政策株式売却の早い進捗や海外子会社配当の上振れはあるものの、おおむね想定通りとしている。経常利益は同3482億円増益の5329億円、当期純利益は同2665億円増益の4306億円となった。
日新火災の正味収入保険料は前年同期比4.5%増の403億円。保険引受利益は同13億円減の1億円だった。経常利益は同0億円減の7億円、四半期純利益は11億円増の9億円となった。
国内生保事業の東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、前年同期比13.7%減の91億円となった。回払変額保険の販売下振れ等により計画を下回る進捗となったが、第2四半期以降に新商品の販売開始を予定しており、年度末に向けて販売拡大を見込む。保有契約年換算保険料は前年度末比0.8%減の7570億円となった。当期純利益は前年同期比195億円増の228億円。経常利益は同631億円増の690億円となった。基礎利益は同88億円増の131億円。事業別利益は、トップライン下振れに伴う初年度負担の減少等により同113億円増の172億円と、計画をやや上回って進捗している。
海外事業の事業別利益は、ロサンゼルス山火事(▲274億円)の影響や外貨間為替(▲約60億円)の影響はあるものの、デルファイや Tokio Marine Seguradora (以下、TMSR)における好調な保険引受や、北米キャピタル損が年初計画対比で少ないこと(+約120億円)、市況変動等によるアジア生保での利益計上(+118億円)等により、事業別利益全体では前年同期比0.9%増(除く為替で3.2%増)の1263億円で、除く為替での進捗率は26.5%と、年初計画に対しておおむね順調な進捗としている。主要拠点(フィラデルフィア、デルファイ、TMHCC、 Tokio Marine Kiln 、TMSR、Pure )の第1四半期実績は現地計画対比+約80億円(うち保険引受利益+約10億円)、上半期では同+約280億円(うち保険引受利益+約100億円)となる見込み。
自然災害リスクを資本市場に移転するキャットボンドの市場規模が拡大を継続している。エーオンの調査によれば、2025年6月末時点の発行残高は約540億米ドル(約8㌦1兆円)で、20年末の約300億ドル(約4㌦5兆円)から4年でほぼ倍増した。この背景には、米国を中心に自然災害リスクの再保険キャパシティの調達先を分散・安定化したい保険会社のニーズと、代替投資先を求めるグローバルな資本市場の投資ニーズの合致があるという。現在エーオンで保険リンク証券を担当する菊池佑介氏に、大型キャットボンド発行などの最新事例を交えながら、市場の動向や保険会社にとっての発行のメリットなどについて聞いた。
――キャットボンド市場の成長動向とその背景について。
菊池 ここ数年、キャットボンド市場は急成長を遂げており、25年6月末時点の発行残高は540億ドルに達した。近年の急激な成長の要因は大きく二つある。一つは、米国等において、自然災害のピークリスクに対する十分な再保険キャパシティの確保が競争力のある保険料水準では難しくなっており、保険会社等において巨大な資本市場を活用した十分に分散したキャパシティの調達へのニーズが高まっていること。もう一つは、年金基金やヘッジファンドなどの機関投資家が、株式や債券といった伝統的アセットへの投資からより高いリターンを求めてオルタナテ
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