Advertisement Advertisement

コンテンツ

うず

【うず】横丁のご隠居と

SHARE

 大手生保本社勤務OGのMさんから嬉しい近況を伺った。お一人でお住いのマンションで、小中学生を育てながら企業勤務のキャリアを継続している若いお母さんたちと家族ぐるみの、入居階を越えてのご近所付き合いがあるとのこと。
 仕事の都合でお迎えの時間に間に合わなくなったお母さんからの連絡を受けて、代わりに小学生を引き取りに行ったりもしている。母親が留守の時に、何か事が起きると階を越えてそのお子さんが報告・相談に来るらしい。先般ご本人が足を負傷した際には、ご近所さんがゴミ出しを担ってくれた。時たま自分のお部屋でメンバーとの飲み会も催されているとのこと。
 ご本人の温かいお人柄もあるだろうが、現役のオフィスワーカーであるお母さんたちから、職場での上司や若い部下との接し方などの悩みを相談されることがあり、現役時代の中間管理職としての経験を思い出しながら相談にも乗っている。同じ思いをした人々が対等な立場で相談に乗り合うことを「ピアカウンセリング」というが、まさにそれが実践されているようだった。
 昭和時代までは、そんな町内会の近所付き合いは普通のことだったが、現代の多くのマンションでは「隣は何をする人ぞ」なる断絶が、セキュリティを含めて話題になっている。孤独死や独居老人の「今日一日誰とも口をきかなかった」という話もよく耳にする。
 話をお聞きしていて、保険の基本の一つ「助け合いの精神」が、このマンションに顕在していることに驚くとともに、なぜか、古典落語の世界の「横丁のご隠居と町内の若者衆」の心温まる交流話を思い出していた。(朗進)

SHARE