生保各社25年度第1四半期決算 保険料等収入は3%減の10兆円 為替差益の減等で資産運用収支は減少
生保各社の2025年度(26年3月期)第1四半期決算がまとまった。本日4~6面に生保協会会員各社の業績詳細(本紙調査)を掲載。生保協会全41社集計6月末損益計算書によると、保険料等収入は前年同期比3.2%減の10兆7597億円だった。個人保険・個人年金保険合計の新契約年換算保険料は同0.8%減の6621億円とほぼ横ばい。経常利益は5381億円(同40.6%減)、四半期純剰余(純利益)は4502億円(同9.7%減)だった。資産運用収益が同43.4%減の3兆4445億円だった一方、資産運用費用が同53.5%増の2兆2469億円となり、資産運用収支の減少傾向がみられた。資産運用収益の減少は為替差益の減少、資産運用費用の増加は有価証券売却損が主因となっているもよう。
日本生命グループの「保険・サービス収益(連結損益計算書における保険料等収入とその他経常収益の合計)」は、ニッセイ・ウェルス生命の増加とニチイホールディングスの連結(774億円)により前年同期比11.1%増の2兆3006億円となった。基礎利益は同16.5%増となった。保険料等収入は、日本生命が営業職員チャネルの販売減(終身保険等の減少)により同10.2%減の1兆1157億円、大樹生命が外貨建一時払商品の販売減、再保険収入の減少などにより同19.4%減の1643億円、ニッセイ・ウェルス生命が再保険収入の増加、外貨建一時払終身保険の販売増円などにより同60.9%増の7678億円など。国内の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同8.3%増の1361億円で、日本生命は同8.1%減の540億円、大樹生命は同18.9%減の78億円、ニッセイ・ウェルス生命は同25.7%増の678億円など。
かんぽ生命の経常収益は前年同期比2.1%減の1兆4341億円で、保険料等収入は同4442億円減の5767億円だった。連結修正利益は同4.6%増の351億円となった。個人保険の新契約件数は一時払終身保険の販売減少等の影響により、同60.6%減の11.6万件に落ちた。個人保険の新契約年換算保険料は同57.9%減の268億円だった。かんぽ生命単体ベースでは、新契約の初年度に係る標準責任準備金の積増負担の減少等による保険関係損益の増加、順ざや(ヘッジコスト考慮前)の増加、および危険準備金繰入等の減少により四半期純利益は同154億円増の359億円。基礎利益は同485億円増の920億円となった。
明治安田生命のグループ保険料は前年同期比3749億円(42.3%)増の1兆2614億円、グループ基礎利益は同471億円(42.1%)減の649億円となった。親会社に帰属する四半期純剰余は▲0億円(前年同期実績は306億円)となった。グループ保険料については再保険料収入を除くと1兆2600億円(同42.5%増)となる。明治安田生命単体の保険料等収入は円貨建一時払保険の販売好調、確定給付企業年金保険の引受再開により大幅増収となり、再保険料収入を除くと同50.0%増の1兆1036億円となった。個人保険・個人年金保険は同12.9%増の5927億円で、このうち営業職員チャネルは同40.5%増の5080億円、銀行窓販チャネルは同51.2%減の749億円だった。団体年金保険は同233.3%増と大幅な伸展を示し4271億円。新契約年換算保険料は、営業職員チャネルでの円貨建一時払保険の販売好調を主因に、同34.5%増の420億円となった。営業職員チャネルは同72.0%増の366億円、銀行窓販チャネルは同47.3%減の51億円。
第一生命ホールディングスの連結保険料等収入は前年同期比13.1%減の1兆5884億円となった。グループ修正利益は同49%減の742億円で、グループ基礎利益は同38%減の939億円だった。国内事業は国内株式の売却益や投信解約益の剥落等による影響や債券売却を前倒しで行った影響で減益、海外事業は円高影響を受けるも米プロテクティブが利益をけん引し増益を確保した。第一生命の保険料等収入は同119億円減の5569億円。第一フロンティア生命の保険料等収入は同2494億円減の6183億円、ネオファースト生命の保険料等収入(再保険収入を除く)は、がん保険の販売が好調に推移したことに加え、経営者向け新商品の導入効果も寄与し、同14億円増の239億円となった。新契約年換算保険料はグループ全体で同27.7%減の1266億円となった。国内4社(生保3社とアイペット損保)計では同11.6%減の894億円で、第一生命が前期に販売好調だったステップジャンプの反動により同22.1%減の237億円、第一フロンティア生命が同8.4%減の603億円、ネオファースト生命が同14.3%増の36億円など。
住友生命の連結保険料等収入は前年同期比4.5%減の7776億円となった。グループの基礎利益は同12.8%減の793億円。グループの新契約年換算保険料は同13.3%増の1523億円。その内訳は、国内事業が同5.3%減の274億円、海外事業が同18.4%増の1249億円で海外事業が大きく貢献した。住友生命単体の新契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険)は、Vitalityを中心に保障性商品の販売が好調だったものの、主に外貨建一時払終身の販売が減少したことなどにより、同14.4%減の204億円となった。チャネル別には営業職員チャネルが同0.3%減の140億円で、代理店チャネルが同34.5%減の63億円だった。
プルデンシャル・グループ4社(プルデンシャルHD、プルデンシャル生命、ジブラルタ生命、PGF生命)の連結保険料等収入は前年同期比6.6%減の8856億円だった。プルデンシャル生命は同16.7%減の3425億円、ジブラルタ生命は同37.7%増の3993億円、PGF生命は同44.5%減の1745億円。3社合算の新契約年換算保険料は同0.9%増の463億円で、プルデンシャル生命は同4.8%減の183億円、ジブラルタ生命は同50.1%増の185億円、PGF生命は同34.2%減の93億円だった。3社合算の基礎利益は、同37.3%減の422億円だった。
ソニー生命の保険料等収入は前年同期比4.9%減の4336億円だった。新契約年換算保険料は同7.4%減の406億円。基礎利益は同0.4%増の368億円だった。ソニーフィナンシャルグループの生命保険事業としては、経常収益は、前年の為替差益の剥落と特別勘定における運用益の減少により、同22.1%減の6505億円で、経常利益は、ALM(資産負債の総合管理)の考え方に基づくリバランスを目的とした債券売却に伴う一般勘定における有価証券売却損益の悪化等により、▲637億円となった。
T&D保険グループの太陽生命、大同生命、T&Dフィナンシャル生命の国内3社合算の保険料等収入は前年同期比0.3%増の7148億円だった。新契約年換算保険料は同24.7%増の643億円。うち太陽生命の保険料等収入は同40.0%増の2936億円で新契約年換算保険料は同28.6%増の149億円。大同生命の保険料等収入は同1.9%増の2050億円で新契約年換算保険料は同5.6%増の199億円、T&Dフィナンシャル生命の保険料等収入は同28.4%減の2162億円で新契約年換算保険料は同39.5%増の294億円。国内3社合算の基礎利益は事業費の増加等のマイナス要因があった一方、為替ヘッジコストの減少等による順ざやの増加等により同0.0%減の471億円。
フコク生命グループの富国生命、フコクしんらい生命の2社合算の保険料等収入は、前年同期比9.0%増の2250億円で、合算の基礎利益は同32.5%減の154億円となった。富国生命の保険料等収入は同8.0%増の1519億円で新契約年換算保険料は同9.3%増の51億円だった。
現在、遺言などによって自身の遺産を自治体やNPO法人、公益法人などの団体に寄付をする「遺贈寄付」が広がっている。寄付先は母校や故郷の自治体、子どもたちの未来、研究機関、環境団体など多岐にわたっており、個人の思いを未来に託すことができるのが特長だ。一般社団法人日本承継寄付協会は、「遺贈寄付を文化にする」をミッションに、誰もが自然に遺贈寄付を選択できる社会の実現を目指して「遺贈寄付」を多くの人に周知させる取り組みを続けている。6月には、同会が認定する「承継寄付診断士」の養成を目指し保険会社と連携するなど、遺贈寄付のさらなる拡大に向けて取り組みを強化している。遺贈寄付は「人生の集大成として自分の思いを未来に託す手段だ」と語る代表理事の三浦美樹氏に、協会の取り組みや保険業界の役割、遺贈寄付の価値などについて聞いた。
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三浦 当協会は「遺贈寄付を文化にする」をミッションに掲げ、誰もが遺贈寄付を選択できる社会を目指し、寄付経験者や受け入れ団体へのヒアリングなどの全国調査を軸に活動している。当協会が行った調査によって、寄付に関して企業が相談できる先が不足している現状が明らかになったため、FPや金融機関、税理士、司法書士などの専門職に向けて情報提供を促進している。また、遺贈寄付という制度を紹介する冊子「えんギフト」を全国1000
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