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リスキリングで新たな高みへ~住友生命

社内外でリスキリングを通じて新たな視点を獲得し、事業貢献に向けた挑戦を続ける人物を紹介する特集の第7回は、住友生命保険の井藤尚氏。同氏は、支社、コンプライアンス統括部、経理部と多様なキャリアを歩む中で、海外事業への挑戦を志し、英語力の証明となるTOEIC860点獲得や国際会計基準(IFRS)検定合格といった資格取得に励んできた。その根底には、今後さらなる成長が期待される海外生保事業を支えたいという、強い思いがあった。
住友生命 井藤尚 氏
英語と会計知識武器に海外事業に挑む

国際業務部 副長
自己啓発支援制度活用し将来を見据えた学び
経理から国際業務へ、スキルを求めて踏み出す
井藤氏は新卒での同社入社後、沼津支社での営業支援業務に始まり、コンプライアンス統括部を経て経理部の事業費担当部署へと異動した。経理部では約6年間にわたり全社のコスト管理に従事し、「一つ一つの費用の増減を分析して会社の実態を捉えていく業務は、非常に面白かった」と振り返る。その中で、会社全体を俯瞰する視点の重要性に気付くとともに、自身の異動のタイミングが近づくにつれ、「このままでは専門的なスキルがない」という不安も感じていたという。
そうした中、既に同社が海外事業を強化している現状を踏まえ、自身もその分野で力を発揮できる人材になりたいという目標を明確にし、海外事業に携わるための自己研鑽(さん)を開始した。英語力証明の指標となるTOEICで860点以上獲得を目指して勉強を重ね、2年ほど前に目標を達成した。また国際会計の知見を身に付けるため、同じ時期にIFRS(国際会計基準)の検定試験にも挑戦し、オンライン講座を活用した学習で合格を勝ち取った。こうした努力も実り、昨年4月には念願だった国際業務部への配属が実現している。
国際業務部では、最初の1年間は海外赴任者の人事・労務サポートや部全体の予算統括業務などを担当し、海外駐在員向け規程の見直しや管理業務の効率化を目的としたシステム導入にも取り組んだ。そして今年4月からは、米国子会社シメトラの経営管理グループに異動。日々英文の財務資料に向き合う業務に就いており、「学んできたことがまさにそこで生きている」と話す。子会社管理業務では、財務面だけでなく投資や販売動向など、多面的に会社の状況を分析し、親会社としてさらなる成長策を検討する必要がある。井藤氏は「経営層と同じような視点で会社を見られることに大きなやりがいを感じている」と語り、海外生保事業に直接貢献できる現在の役割に充実感をにじませる。
TOEIC高得点、IFRS合格を支えた学習法
井藤氏は資格取得にあたり、業務時間外の隙間時間を最大限に活用したという。TOEIC対策では通勤時間や昼休みにスマートフォンで問題演習を行えるアプリ「スタディサプリENGLISH」を積極的に利用し、会社の自己啓発支援制度を活用して同アプリの有料版の受講費を賄った他、文法など苦手分野は市販の問題集で集中的に強化した。「アプリで正答率を確認すると弱点が可視化できるので、そこを重点的に潰していった」と振り返るように、効率的な学習で着実にスコアを伸ばした。
とはいえ、目標の860点に到達するまでの道のりは平坦ではなかった。TOEICでは800点台中盤で得点が伸び悩む時期もあり、壁にぶつかることもあったという。加えて、リスニング・リーディング中心の対策だけでは不十分と感じ、AI英会話アプリ「ELSA」を使ってスピーキング練習にも取り組んだ。「AIを相手に英語で注文のロールプレイをすると、発音の判定や表現のアドバイスまで返ってくるので実践力向上に役立った」と話し、英語で円滑にやりとりできる力への自信も深まったという。
一方、IFRS検定の学習は、TOEICと同様に自己啓発支援制度を活用し、専門的なオンライン講座に申し込み、短時間の講義動画を仕事の合間に視聴して基礎知識を習得した。講座修了後は問題演習に集中し、年に数回しかない試験の一発合格を狙い、見事に一度での合格を果たした。現在は、米国公認会計士(USCPA)の取得にも挑戦中だ。約5年前、こちらも自己啓発支援制度を利用して受講を開始したが、当時は業務が多忙で学習を続けられず、途中で中断せざるを得なかったという。その後、一定期間で失効するはずだった受講資格に新型コロナの影響による受講期限延長措置が取られたことで、再挑戦のチャンスが生まれた。国際業務部へ異動し、英語・会計知識のさらなる向上が必要と認識した昨年から再び本格的に取り組み始め、約7カ月間の学習を経て、今年1月に最初の1科目に合格した。
同資格の取得に必要な残り3科目の合格に向け、継続して勉強を進めており、その方法について「平日は朝に30分、昼休みに20~30分、夜に1~2時間程度と勉強し、絶対に日付が変わるまでは続けないようにして、睡眠時間を確保している」と明かす。土日は家族と過ごす時間を優先しつつ、可能な日は合間に合計5時間ほど学習するなど、生活とのバランスを取りながら計画的に取り組む。試験の1カ月前からは、平日夜の学習時間を増やすなど追い込みをかけるが、基本的には無理のないペースで継続することを重視しているという。
海外生保事業の成長を支えるために
井藤氏は新卒での同社入社後、沼津支社での営業支援業務に始まり、コンプライアンス統括部を経て経理部の事業費担当部署へと異動した。経理部では約6年間にわたり全社のコスト管理に従事し、「一つ一つの費用の増減を分析して会社の実態を捉えていく業務は、非常に面白かった」と振り返る。その中で、会社全体を俯瞰する視点の重要性に気付くとともに、自身の異動のタイミングが近づくにつれ、「このままでは専門的なスキルがない」という不安も感じていたという。

