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特集

リスキリングで新たな高みへ~AIG損保

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リスキリングで新たな高みへ~AIG損保

社内外でリスキリングを通じて新たな視点を獲得し、事業貢献に向けた挑戦を続ける人物を紹介する特集の今回は、AIG損保の内海航氏。同氏は、大手企業を担当する営業職として業務に向き合う中、財務分析スキルの必要性を感じたことをきっかけに難関資格の米国公認会計士(USCPA)試験に挑戦し、見事に全科目合格を果たした。この成果を自身の営業提案により深みを持たせる武器とするとともに、新たな業務への挑戦も視野に入れる。

AIG損保 内海航 氏



「提案力向上のため」USCPA合格



企業営業本部ブローカー&クライアント・エンゲージメント部アカウントエグゼクティブ

財務分析のスキル生かし幅広い業務に従事





より踏み込んだ提案のために



内海氏は現在、保険ブローカーを窓口として大企業に保険ソリューションを提案する営業職を務める。2018年に新卒で入社し、中堅企業向けの直販営業部で経験を積んだ後、より規模の大きな企業を担当する現部署に異動した。

現場では日々、リスクファイナンスとしての保険を取り扱う中で、罹災(りさい)時に必要となる事業継続資金を算出して保険金額を設定したり、災害損失の取り扱いについて議論を行ったりする機会がある。自身に財務分析の能力があれば、社内外の関係者と共通の言語でやりとりでき、提案の説得力も増すと考えたが、法学部出身の内海氏にとって会計は未知の領域だった。同氏は当時を「簿記も含めそれまで会計を勉強したことがなく、当初は財務資料を見ても何をどう理解すればよいのか全く分からなかった」と振り返る。

こうした背景の下、より踏み込んだ提案を行うために世界的にも権威のあるUSCPAの資格取得を志した。英語で受験する必要がある点も「英語力維持の一助になる」と前向きに捉え、迷わず勉強を開始したという。同資格の試験は4科目に分かれており、内海氏は仕事のかたわら2年弱にわたる学習を経て、一昨年10月に全科目の合格を達成した。

ただ、USCPAとして正式にライセンスを取得するためには会計の実務経験が一定時間必要で、同氏の場合は現時点でその要件を満たしておらず、まだ資格保持者を名乗ることができない。現在は企業の財務状況や信用力を見極める業務を日常的に行うことで、ライセンス取得に必要な会計分野での実務経験を積み上げている状況だ。



財務知識が生み出す社内外での新たな価値



USCPA試験合格者としての知見が社内で認知されたことで、「こんな業務にチャレンジしてみないか」と声が掛かる場面が増えているという。昨年は半年間、社内の財務部門で研修として業務を経験する機会を得た他、現在は、取引信用保険の引受部門で企業の信用リスク分析といった業務にも一部携わっている。実際、企業の財務状況を分析して与信限度額を判断する取引信用保険の審査業務に携わった際には、「勉強して身に付けた会計知識が直接的に役立った」と話す。

営業においては、引受部門との間で顧客企業の財務健全性やリスクに関する議論を深められるようになり、より的確なソリューションの提案につなげられるようになっているという。難関試験の合格によって得た会計知識は、内海氏のキャリアに早速プラスの効果をもたらしている。



インプット重視の学習を心掛ける



USCPA合格への学習については、「通勤時間などの隙間時間の活用は得意ではない」と話すように、例えば平日なら朝に1~2時間、夜も帰宅後に1~2時間というように時間帯を決めて取り組んだ。講座は予備校アビタスの通信講座を活用し、自宅でテキストの熟読とオンライン講義動画の視聴を重ねた。勉強においては問題演習を大量にこなすというより、テキストを何度も読み込むインプット重視のスタイルを心掛けた。テキストをただ読むだけでは目が滑りがちになるため、ポイントとなる事項をノートに転記するなどして読み込む力を養ったという。

また、週末には勉強一色になり過ぎないよう、趣味のサーフィンやドライブでリフレッシュする時間も大切にしたと話す。その上で、試験が近づいた時期には1日合計5時間以上の学習時間を確保するなど、オンオフの切り替えを意識しつつ効率的に合格力を高めていった。

ただ学習を進める中で、学び続けることへの葛藤もあったと内海氏は明かす。USCPAは監査法人やコンサルティング業界への転職を目指す人に人気の資格だが、自身は現在の業務に役立つと考えて学習を始めた経緯もあり、取得後のキャリア像はあえて幅を持たせたまま臨んでいた。勉強がつらくなった時期には「やめてしまってもいいのでは」と何度も心が揺らいだという。それでも自身の特性である好奇心の強さを原動力に、学習を何とか継続できたと振り返る。会社の同僚や友人に学習していることを一切公言せず、黙々と取り組んだこともプラスに働いたようで、「周囲に宣言して変にプレッシャーを掛けなかったことで、自分のペースを保てた」と話す。こうした姿勢で取り組んだ結果、全科目一発合格という素晴らしい成果を収めた。



資格取得の先のビジョン



内海氏は現在、新たに得た財務知識を武器に提案の付加価値向上に努めている。その一つがキャプティブ活用の提案だ。キャプティブの活用は大企業のリスクマネジメント手法として国内でも注目度が高まっており、「毎年支払っている保険料を自社子会社であるキャプティブに還流させ、グループ内にとどめればキャッシュフロー改善や利益創出につながる」と話す。

キャプティブの提案において、財務面のメリットを定量的に示せる内海氏の知見は大きな強みとなる。実際、社内では営業部門、引受部門、キャプティブ専門チームが合同で顧客向け提案資料の検討を進めており、内海氏もこれに参画。「営業担当として財務の知識を存分に生かし、会社に貢献したい」との意気込みを示す。

将来については、「まずはUSCPAのライセンス取得を成し遂げたい。その上でお客さまにさらなる付加価値を提供できる人材としてさらに成長していきたい」と抱負を語る。さらにその先のビジョンとしては、「機会があれば引受などにも挑戦して知見を広げたい」とし、海外での経験も視野に学びの幅を広げたいと話す。



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