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【新ヨーロッパ通信】ドイツ・ガソリン事情
私が住んでいるミュンヘンでは、2月28日のイラン戦争勃発以降、大半の給油所で、ガソリンとディーゼルの軽油の1リットル当たりの価格が2ユーロ(366円、1ユーロ=183円換算、以下、同じ)を超えた。
ドイツでガソリンや軽油の1リットル当たりの価格が2ユーロを超えたのは、2022年にロシアがウクライナに侵攻した時以来である。ドイツ政府は現在のところ、ウクライナ戦争勃発の際に実施した燃料税引き下げのような、市民の燃料費用負担を減らすための激変緩和措置は考えていない。
ドイツは、イラン戦争後の燃料価格の上昇が、EUで最も著しい国の一つだ。連邦統計局によるとドイツでは、3月16日のガソリン(スーパー95)の1リットル当たりの価格が2.08ユーロで、オランダ(2.26ユーロ)、デンマーク(2.18ユーロ)に次いで、EUの27の加盟国の中で3番目に高かった。最も安いブルガリア(1.33ユーロ)に比べて56.4%も高い。
そこで政府は3月17日、自動車の燃料価格に関する発表をした。「燃料価格調整法」という法律によって、給油所の燃料価格の引き上げは、1日当たり1回に限られた。引き上げは正午に行わなくてはならない。違反した事業者に対しては、最高10万ユーロ(1830万円)の罰金が科される。燃料価格の引き下げは、1日に何回でも行うことができる。
新しい法律を導入した理由は、給油所が頻繁に価格を変更しているからだ(給油所が1日に20回以上価格を引き上げたケースもあった)。
ただし、米国・イスラエルとイランの間の戦争がエスカレートし周囲の産油国にも被害が及んでおり、ホルムズ海峡封鎖が長期化することが懸念されている。ドイツの大衆紙には、「1リットルの価格は3ユーロになるか?」という見出しが出ている。
国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は3月20日、英国のBBCのインタビューに答えて、「イラン戦争が引き起こすエネルギー危機は、1973年の石油危機や、2022年のエネルギー危機よりも深刻なものになる」と断言した。しかし、その深刻さは、まだ世界の大半の政治家、市民によって理解されていない。ビロル氏は各国政府に対して、飛行機の利用を減らしたり、ホームオフィスを増やしたり、公共交通機関の利用を増やしたりするなど、石油需要を減らす対策が必要になると語った。
同氏はこのエネルギー危機により、再エネと原子力エネルギーの拡大が加速するだろうと予想している。これまでの常識が通用しない時代がやって来たことだけは確かである。
(文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92
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