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巣立ちにみる子離れ

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 近所の公園駐車場の立木に猛禽類であるツミが巣作りをした。日々、親鳥が子育てをしている姿を愛鳥家たちが早朝からカメラ片手にそっと見守っていて、ちょっとした街の話題になっていたのだ。私も気になって日参していたのだが、昨日、その巣からひなたちが飛び立っていった。巣作り以来数週間、あっという間の巣立ちである。この時期、ツバメの巣立ちを目にする人は多いが、ツミはこの辺りでも珍しい。
 数週間見守っていてあらためて野生動物の子育てのすばらしさを見た。そもそも子育てはつがいの連携プレーである。雄はかいがいしく餌を取りにいき、雌はそれを子どもに与える。ひなが成長してくると、あるときから雄は見掛けなくなる。頃合いをみて、雄は一足先に大空に戻るのか。雌はしばらく子育てを続けていたが、次第にひなたちは幼鳥の羽毛から親と同じ色の羽で覆われてくる。巣の周りにとまるようになり、枝から枝に小さく羽ばたき、羽の手入れをするようになる。そして巣立ちである。巣を出たその日から自分で餌を取り、外敵から身を守り、来年にはどこかで巣をつくって子育てするのだろうか。自然の営みは美しくたくましい。
 人間はどうだろう。成人が18歳になったが、18歳で親から独立することはまれだ。学生であることも多く、家族との同居も多いだろう。同居自体は悪いことではないし、人間には人間同士の大切なつながりや協働がある。しかし、依存心が大き過ぎて、自立心・独立心が育たないのは困る。先日、英国在住の友人が、子どもは18歳になったら原則親元から離れるときっぱり言っていた。子どもだけに責(せめ)があるのではなく、子離れできない親も多いのが実情ではないか。野鳥家族と一緒にはできないが、子どもの成長を見極めながら、心のつながりも大切にしつつ、潔く子離れしたいものだ。(こゆ美)

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