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うず

保険学は総合科学

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 本欄でもたびたび触れているが、最近いろいろな形で、保険に関する講義や学生たちの議論を拝聴する機会があった。そんな中で思いを新たにしている言葉がある。
 それは、「保険学は総合科学」という言葉だ。惜しくも病に倒れた後輩D大学のO教授が、ゼミで保険学を学ぶ学生たちに向かってよく口にしていた。なるほど、保険を論じる場合、いろいろな社会科学の要素が関連してくる。
 保険会社においては、リスクの分析管理、保険料率の決定運用に統計学、数学の要素は必須だ。気候変動にも大きな影響を受けるので環境科学、健康増進には医学情報も日夜取り入れている。商品開発には現代社会への社会学的アプローチが必要だし、販売には心理学、行動経済学など最新の理論が重要になる。
 資産運用、責任準備金運用面からは株式・債券市場論などの金融理論、経済学はもちろん、最近はSDGs、ESG投資まで密接に関係してくる。
 無論、保険業法等の法律規制を受けて、コンプライアンスを守って運営されているのだから、法律学的分析も必要になってくるし、金融当局も注目する健全性のチェックにはBSやPLなどの会計学の知識が必要になる。
 一方、保険を利用する側の企業におけるリスク管理とBCP対策は経営学そのものであるし、企業価値論にも直結している。
 個人保険分野も、保険を使った個々の家庭のリスク管理との視点からすれば、それは家政学の分野でもある。
 先日も保険学を学んでいる学生たちに、「貴君が卒業後どのような分野で活躍することとなっても、今学んでいる保険学は必ず役に立つことになる学問の一つだと断言できる」とエールを送った。(朗進)

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