うず
どんな人間も見放すな
1960年代に米国第38代副大統領を務めたヒューバート・ハンフリーという人物がいる。彼が遺した言葉に「どんな人間も見放すな」という名言がある。おなじみのSDGsの基本理念も「誰一人、取り残さない社会の実現」であることは言うまでもない。これらの言葉、国や事情は違えどもなぜかわが国の代理店業界にも当てはまるのではないか。
昨今、損保系中小規模代理店は手数料ポイント制に悩まされてきた。挙績や規模、増収率が重要視され、収保は上がっても手数料ポイントが下がり減収するケースもある。さらに、毎年のように変わるポイント項目で経営計画もままならない。また、専属代理店が顧客のために他の保険会社に乗り合おうとした場合、専属ポイントの優遇措置がなくなり、ポイントは急降下し経営が成り立たなくなる恐れすらある。
では、小さい代理店は要らないのか。そこで気にかかるのは災害リスクだ。災害リスクは全国共通だ。地方で住民と寄り添い、顔の見える付き合いを続けているのはそうした中小代理店だ。彼らがセーフティネットの網の目を形成しているからこそ、住民は万一の災害時にも安心して生活再建ができる。一方、手数料ポイント制度も全国共通だ。しかし、都市と地方ではマーケットも違えばエリアの広さも異なる。それだけに大都市圏の目で地方を見てはいけない。
7月には関西の代理店が中心となって手数料ポイント制が優越的地位の乱用に当たるとして公正取引委員会に訴えた。審査は審査として、地域のセーフティネットを構成する中小の代理店が見放されてよいわけはない。(リュウ)