【特集 関東大震災から100年】今必要な防災・減災のあり方 求められる全てのステークホルダーの連携
関東大震災から100年の節目を迎えた。大正12年(1923年)9月1日午前11時58分に発生した推定マグニチュード7.9の地震(大正関東地震)によってもたらされた未曽有の大規模災害では、死者・行方不明者は10万人を超え、全壊・全焼住家は約29万棟に上り、当時の日本の社会・経済に大打撃を与えた。その教訓を基に日本の災害対策は強化され、現在の耐震基準の基礎となる耐震規定の制定や、地震発生メカニズムの解明など地震研究の進展につながった。現在のボランティアに当たる住民同士の助け合いも大きな役割を果たし、後に地震発生日が「防災の日」と定められて、毎年、防災訓練や各種啓発活動が活発に行われるようになるなど、関東大震災は近代日本の災害対策の出発点となった。また、その後に発生した大規模自然災害を契機に災害対策は繰り返し見直され、長期的な取り組みを重ねて現在まで発展してきた。それでもなお、現代の日本に暮らす私たちにとって、防災・減災に決して万全ということはなく、終わりのない取り組みだということ、そしてひとたび大規模災害が発生すれば人的被害はもとより、被災地の建物やインフラなどの物的損害、さらには日本の経済・社会・政治・環境など多方面にわたって長期的かつ深刻なダ
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東京都千代田区にある防災専門図書館は「防災、災害等に関する資料の収集とその活用・発信を通じて、住民のセーフティネットとして貢献する」ことを目的に、公益社団法人全国市有物件災害共済会により運営されている専門図書館だ。1956年7月の開設以来、台風や地震などの自然災害に限らず、火災や事故などさまざまな災害やその対策に関する約17万冊の資料を収集している。司書・学芸員の堀田弥生氏は自然地理学や地形学など災害に関連する学問を修め、職に生かしているという。日本の国土の成り立ちと自然災害は切り離せないと語る同氏に、関東大震災の記録から読み取れる防災に必要な心構えや、われわれが今考えるべき首都直下地震への備えについて聞いた。
――日本という国と自然災害の関係についてどう見ているか。
堀田 誤解をおそれずいえば、日本列島は自然災害で成り立っていると言っても過言ではない。日本列島は「変動帯」に位置しており、複数のプレートがぶつかり合い地殻変動が激しい。そういう場所では当然地震も起きるし、火山も噴火する。富士山も宝永噴火から300年ほど大きな噴火は起きていないが、火山の一生からみればこの平穏も一瞬のことに過ぎない。東京に関して言えば、関東大震災以降いわゆる大地震は約100年起きていない。1950年代以降、戦後の発展期に大きな地震が少なかったのは、日本にとって幸運だった
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