ページトップ

Column コラム

ホーム コラム うず 孤独死保険と自賠責保険
うず

孤独死保険と自賠責保険

SHARE

Twitter

 久しぶりにリスクと保険を学ぶ学生さんたちの発表会に参加した。相変わらずの若さと熱意にあふれた会だった。なかでも、その表題からして独居老人たるコラム子の耳目を奪ったのは「孤独死保険」に関する発表だった。
 賃貸住宅で孤独死が発生し、発見が遅れた場合には、貸室等の修復や逸失家賃等の経済的損失が発生する。それを補償する「孤独死保険」にはその加入者によって「家主型孤独死保険」と「入居者型孤独死保険」があり、現状はほとんどが「入居者型孤独死保険」であるとのこと。こうした事故は宅地建物取引業法上の重要事項説明で告知義務の対象にもあたるため、家主が単身入居者を好まないとのことで、入居を断られないよう入居を希望する店子の方が加入することが多いと考えられ、さもありなんと妙に得心してしまった。
 しかし、孤独死は何も高齢者だけの問題ではなく、「単身赴任者」「独立したばかりの若者」にも起こり、その年齢層には大きな幅があるとの報告にはさらに驚かされた。
 発表では、孤独死を防止するためのスマホアプリや人体感知装置などの対策、設備の普及を提案しながら、プライバシーの問題にまで言及されていた。
 熱心な報告を聞きながら、自賠責保険のことをふと考えていた。自動車の普及により社会問題化した自動車事故の当事者を守るための保険と同様に、孤独死は、賃貸だけでなく自宅での発生を含めれば同様の社会問題であり、何らかの強制加入を含めた社会保険的な要素が見えたからだ。
 各種センサーを搭載し安全運転を支援する先進安全自動車と、同様に先端技術を駆使する孤独死防止対策の普及提案に類似性を感じていたのだった。(朗進)

SHARE

Twitter
新着コラム