ページトップ

Column コラム

ホーム コラム うず 空のリスク
うず

空のリスク

SHARE

Twitter

 正月早々、航空機事故が発生した。羽田空港で能登半島地震被災地への物資輸送のため飛ぶ予定だった海上保安庁機と日本航空の旅客機が滑走路上で衝突した。この事故で海保機の乗員5人が死亡、日本航空機は幸いなことに乗客全員が無事に脱出。映画のシーンにも似たこの脱出劇は、海外のメディアからは奇跡という言葉も伝わってきた。
 同一滑走路に2機は入れない原則の中での衝突事故。日ごろ、羽田空港を利用する身としては、渋滞しているかのように上空から次々と着陸する航空機を見ながら、いつかはこうした事故が起きるのではないかとの不安も感じていた。
 事故の検証は今後進められるだろうが、一体、わが国で航空機の事故はどのくらい起きているのか気になるところでもある。運輸安全委員会の調査によれば、2001年から23年の間で航空機の重大インシデントの件数は大型機で103件、小型機で51件となっている。
 さかのぼれば、わが国の航空機事故では、1971年、航空自衛隊機と全日空機が岩手県雫石上空で衝突した事故、1982年に日本航空機の機長が羽田空港沖でエンジンを逆噴射し海面に墜落した事故、1985年に日本航空機が群馬県御巣鷹山で墜落した事故など衝撃的なニュースが記憶に残る。
 一つの重大な事故の前には29の軽微な事故があり、その裏に300のヒヤリハットが隠れている。これはハインリッヒの法則と呼ばれるが、今回の羽田空港の事故の前にそうしたヒヤリハットが積み重なっていなかっただろうか。
 空のリスクは今後ますます増大する。そうした中で、飛行機に乗るわれわれにできるのは天に無事を祈ることだけなのが歯がゆい。
 (リュウ)

SHARE

Twitter
新着コラム