うず
自己責任で
先般の入院後半に入った時、なぜかカフェオレが飲みたくなった。病棟フロアーに設置されている自動販売機に水と一緒に売っているのを知っていたので購入してみたものの、果たして現在の自分が飲んでよいものか気になってしまい、ナースステーションに立ち寄り、飲んでよいか声をかけてみた。
当然、看護師からはコラム子のカルテや担当医師への確認等があるため即答はいただけなかったのであるが、その時何を思ったか、「では『自己責任』で飲ませてください」と言ってしまった。看護師の皆さんは、思わず笑ってしまったようだった。
結局、カフェオレは水分補給ということで適量を条件に許可されたのであるが、その際、笑顔とともに「この病棟で『自己責任』などということは全くありません。そんな発言をしたのはあなたが初めてです」と言われてしまった。
言われてみればそのとおりで、入院患者は医療スタッフの手厚い管理下に置かれているのであり、自分が責任をとるからよいだろうと、手前勝手な行動が許されるわけはないことだけは理解できたエピソードだった。
しかし、保険業界の人間はこの概念を、引受案件や免責案件などの課題のどこかで、“これは「自己責任」の事案”などと無意識に使用していることはないだろうか。
無論、医療関係業務とは環境が異なり、すべて否定されるべきものではないが、「そこはもう『自己責任』としても仕方がないだろう」と安易に考えるのではなく、勧奨には予想し得るリスクをその強弱を含めて丁寧に説明し、事故の予防や加入すべき保険をお勧めする努力を惜しむことのないようにしたい。(朗進)