うず
執行役員
生損保大手各社が採用している執行役員制度が日本で導入されたのは、1997年のソニーが最初のようである。うたい文句は監督と執行の分離であり、取締役を少数精鋭化し社外取締役も迎え、各取締役が経営そのものに専念できるよう業務執行機能を限定して各執行役員に切り出した。
取締役会で任命できる執行役員は増え続け、大手損保各社の執行役員数はそれぞれ50人前後であり、大手生保会社でも相互会社形態という会社もあるが、おおむね40人前後の執行役員がいる。さらにはそれらの持株会社にも、役割のよくわからない多くの執行役員がいる。
これは、当初の取締役の担当している業務執行を切り出すという考え方が変わったのかどうかもあるが、役職定年の延長や廃止の中で多くの50代から60代の人材の活用ということで、単に従業員の最高位の職位としての執行役員という位置付け(それ以前は理事などの名称)との認識(あるいは処遇)だけでの任命になってきているからではないか。
その結果、部長・支店長の執行役員も多く、その部門の常務執行役員やら専務執行役員が上にいて、それぞれが従業員からの延長線で目の前の業務に専念している中で、本来その分野を担当する取締役が自分から切り出した担当業務について自分の責任として見守るということがおろそかになってはいないだろうか。
ビッグモーター事件や保険料調整問題での責任の取り方も含め、ガバナンスにおける執行役員の役割と機能、そして責任を見直す必要があるのではないか。(雨宿り)