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うず

心が軽いから

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 アパートのエレベーターに、訪問介護員さんが大きくていかにも重そうな介護入浴用浴槽を抱えて乗ってきた。たとえ介助者がいても自宅の浴室での入浴がままならぬ重篤な状況の方がお住まいらしい。
 横幅は狭くとも、人がほぼ横になってお湯につかる長さがあり、頭部を支え洗髪が可能な容器が付属している。給湯に接続するジャバラ配管、無論シャワー装置もついている。思わず「重くて大変ですねー、お疲れ様です」と声を掛けてしまった。
 当の介護員の方は「これ意外と軽いのです。小学生の子ども1人分ぐらいの重さですよ」と笑顔で説明してくれた。なるほど本体は軽くて丈夫なグラスファイバー製のようだった。
 とはいっても、各戸に毎回運び入れ、設営をして入浴介護後、運び出すのであるからかなりの重労働と見て取れた。他の介護業務も同じであり、最近はスタッフの人材不足も問題となっていると聞いている。
 高齢者を自宅介護する方のブログに、自宅での介護入浴の見事なスタッフの対応と入浴介護を受けた高齢者の方のリラックスぶり、そして家族の感謝が、次のように綴られている。「終わったら、かぜをひかないように身体を短時間で拭いて、床に水一滴残さず、風のように帰っていかれました。入浴後の祖母は気持ち良いのかゆっくり寝入ってしまいました」。お世話をする使命感とお役に立つ喜び―この心があるからこそ軽いと、そのスタッフは感じていたのだ。
 そしてなぜか、1戸1戸家庭訪問をしてお役に立つ情報提供する保険営業職員の心意気に思いをはせてしまった。保険業界としても同じ心意気を支援する施策を考えるときが来ているのではないだろうか。(朗進)

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