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再エネ80%社会を目指すドイツ

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 現在、日本政府は長期エネルギー計画を策定しており、政界・経済界・学界で将来のエネルギーミックスについて議論が行われている。昨年、再エネ比率が初めて50%を超えたドイツは、2030年までにこの比率を80%に引き上げることを目指している。
 連邦エネルギー水道事業連合会(BDEW)によると、23年の電力消費量に再エネ電力が占めた比率は51.8%に達した。
 現在、この国では、家庭を中心に太陽光発電ブームが起きている。23年に新しく設置された太陽光発電設備の設備容量は、前年に比べて2倍に増えて146万キロワット(kW)になった。新設された太陽光発電設備の設備容量は、16年以来10倍に増えた。政府が昨年から、新築される公共施設の屋上に太陽光発電設備を設置するよう法律で義務付けたことも影響している。
 ただし、ドイツの再エネ拡大は、まだ道半ばである。23年に施行された再エネ促進法(EEG)改正法は、電力消費量に再エネ電力が占める比率を、30年までに少なくとも80%に引き上げることを義務付けている。この国は、欧州連合(EU)よりも5年早い45年にカーボンニュートラルの達成を目指している。ドイツは昨年4月15日に最後の3基の原子炉を廃止し、脱原子力政策を完遂した。
 しかし、この国は長期的には、石炭や褐炭などの化石燃料によって原子力を代替することはできない。ドイツ政府は38年までに全ての石炭火力発電所・褐炭火力発電所を廃止することを決めているからだ。欧州で脱原子力と脱石炭を同時に進めているのはドイツだけだ。つまり、ドイツ人たちは再エネ電力を中心とした社会を作ろうとしている。
 連邦経済気候保護省が昨年3月に公表した「45年の電力市場に関する長期予測シナリオ」によると、発電量に再エネ電力が占める比率は、23年の53%から45年には83.1%に拡大する。中心は陸上風力発電、洋上風力発電と太陽光発電だ。23年には発電量の25%が化石燃料で発電されていたが、45年にはその比率はゼロになる。
 残りの9.9%は周囲の国からの輸入、3.2%は二酸化炭素を出さない水素発電所によってまかなう。ドイツ政府と電力業界は、太陽光や風が弱い時に電力の需給が逼迫しないように、小回りの利く水素発電所や水素も使える天然ガス火力発電所をこれから新設するのだ。
 環境エネルギー政策研究所によると、23年の日本の発電量の再エネ比率は25%で、ドイツの半分にとどまる。日本政府は長期エネルギー計画でどのような未来像を打ち出すだろうか。
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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