ページトップ

Column コラム

ホーム コラム うず 事務の自立
うず

事務の自立

SHARE

Twitter

 保険業界の構造的な課題が議論されているが、隠れているのは代理店の事務の自立である。大手保険会社では、2000年頃から代理店による申込書直接計上が始まった。一部の大型企業代理店やプロ代理店からスタートし、代理店システムの改善・進化によりおおむね個人向け自動車保険や住宅物件の火災保険分野で進められてきた。
 これは、従来保険会社が担ってきた業務を代理店手数料を上げることなく代理店に移管したものである。自力で直接計上ができないような代理店への対応としては、総括代理店等やバックアップセンターのようなものを会社は準備してきた。そして、その代替コストを代理店手数料から差し引いたのだ。その結果、ディーラーや整備工場等副業代理店、プロの規模や声の大きい代理店では、営業社員や出向社員が直接計上を代行することにもつながった。代理店の手数料をカットされたくない思いや、営業社員の担当代理店の表面的な自立化のノルマ達成の思いや慣行での引継ぎが重なったのである。経営は数字優先で目をつぶってきた。
 そして20年がたったが、申込書を自力で作成・直接計上ができない代理店がいまだに多数存続している。この代理店の事務の未自立の解決なしには、業界の構造的な見直しはできないことが明らかだ。この観点から未自立の代理店には退場してもらうという、不祥事対応とはいえ、乱暴なかつ一方的な政策も垣間見えてきている。「時代は変わりました、営業社員は行きません、出向はやめます、数字はいりません」ということらしい。20年かけてできなかったこと、放置してきたことの大転換には、まずは各社のトップの覚悟と、顧客不在ではない骨太かつ中期的な政策が必要だろう。 (スネオ)

SHARE

Twitter
新着コラム