うず
子育て中の保育士
2024年度から76年ぶりに保育士の配置基準が改定された。配置基準とは「保育園には子ども1人について何人の保育士が必要なのか」を国が定めたものだ。子どもの年齢によって「0歳児3人に保育士1人、1~2歳児6人に同1人(25年度以降に5人に同1人に変更予定)、3歳児15人に同1人、4~5歳児25人に同1人」となった。
自らも2人の乳幼児を育てながら現役保育士として奮闘している親類に、保育現場の実情を聞く機会を得た。そして、「配置基準の根拠には、例えば、0歳児なら災害等非常時に1人を背負い、2人を抱えて避難できるように算定されている」と言われているなど、真偽のほどは定かではないが興味深い話まで聞くことになった。
在宅勤務が普遍化してもオフィス勤務がゼロになるわけではない。その際にも安心して子どもを託せる保育園が近隣にあることは必須だ。
子どもたちの“ちょこまか”と動き回る行動に対応して、「本当にこの基準で十分に保育時の教育や面倒を見ることができるのか」という疑問は、門外漢でも容易に出てくる。そんな大忙しの保育士だが、給与面で恵まれているわけではなく、現場の保育士不足も深刻な状況のようだ。
ご本人も、預ける親と現場の保育士の両方の立場の思いが分かるだけに、悩みも複雑なものになっているようだった。現在は勤務先に自らの子どもを預けているが、転職も考えているとの発言もあった。
国は保険料控除制度の拡充で子育て中の親の支援を決定したが、業界としても、こども保険のマーケット対応や、事故発生に対応する「保育園賠償責任保険」の開発など、直接の対策だけでなく、保育士の育成、強化などを支援しても良いのではないだろうか。(朗進)