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うず
【うず】企業代理店
保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正案が検討されている。企業の子会社としての代理店は、実態と求められる機能の乖離についてどれだけ正確に理解し、いかに早く新たな方向性に転換できるかだ。
大企業の親会社は、子会社である代理店を作り、そこを通すことによって実質的な保険料の一部還元を合法的に受ける仕組みを長年にわたり享受してきた。余剰人員の適材適所という名目での配置や福利厚生施策との抱き合わせで子会社としてきたものが多い。
親企業やグループ企業の業種別リスクについて深い知見のある代理店の担当者が保険を扱っているのはむしろ例外的で、リスクマネジメントのプロは、親会社やグループ企業の製造部門やリスク管理部門に配置されていて、彼らが直接保険会社と契約内容を詰めてきた。結果として保険会社の営業担当者は、代理店とは他社との競争の情報源としての相互活用(株の買い増し、販売協力、用地斡旋をすること等)がメインとなり、それが今回のようなカルテル問題にもつながった。
そうした役割分担が長年続いた中で、代理店に専門的なリスクマネジメントの提案や保険設計を今後は担えというのは、いかにも厳しいであろう。企業代理店の保険への関与は、従業員向けの生命保険や自動車、火災、傷害保険のリテールだけでよいのではないか。いわゆる管財物件は、国内外を含めてブローカーに任せるのが王道だということなのだろう。企業代理店がブローカー業務を行えるだけの人材を確保し、業とするのはよほどの大企業でない限り難しいだろう。そこを見据えた大転換ともいえる提言が、保険会社には今、求められている。(雨宿り)