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新ヨーロッパ通信

【新ヨーロッパ通信】スペイン民泊増加に「ノー!」

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 私は昨年10月に南スペインのバレンシアで、ホテルではなくエアビーアンドビー(Airbnb)の民泊施設を利用した。ホテルよりも料金が割安である上に、台所があるので、簡単な調理ができるからだ。民泊施設では受付はない。戸口に取り付けられたキーパッドにメールで送られてきた暗証番号を入力すると、施錠が外れる。このアパートでは管理会社が厳しくデジタル監視しており、午後3時をすぎないと、コードを入力しても施錠が外れない。
 部屋に入ってみて驚いた。まるで猫の額のように狭い。一方、浴室は比較的広かった。私は旅行先でも原稿書きの仕事をするが、部屋があまりに狭いので、最初の朝は浴室にテーブルを置いて仕事をした。
 ホテルならば受付に行って部屋を変えるよう交渉できるが、民泊では直接談判ができない。仕方なく、妻が管理会社とスマホのメッセンジャーアプリ・ホワッツアップを使ってクレームをつけて、一晩中交渉した。その結果、翌日には同じ建物の中で、面積が2倍くらいの広さの別の部屋に移ることができた。外国旅行の際には、ダメもとで猛烈に抗議しないと、待遇は改善されない。
 ちなみに、スペイン政府は民泊をめぐって昨年6月に規制に乗り出した。政府は、「Airbnbの民泊施設のうち、当局に宿泊施設として届け出をしていない約6万5000の部屋について、使用を禁止する」と宣言した。ただし、顧客はAirbnbの民泊施設のうち、宿泊施設として認可されている部屋については、これまで同様宿泊を申し込むことができる。
 政府が無認可宿泊施設の禁止を発表した理由の一つは、人気が高いバレンシア、マドリード、バルセロナなどで民泊施設が急増しているために、地元市民が借りられるアパートの数が減っているからだ。民泊急増のために家賃が高騰するという困った副作用も起きている。昨年6月16日には、バルセロナなどで、観光客の急増と家賃の高騰、観光客によるゴミの散乱や水不足について、約8000人の市民が抗議デモを行った。
 私はバレンシアで、観光客に対する地元住民の反感を表わす落書きを見つけた。壁には英語で、「観光客は家に帰れ。お前らは、ベランダから飛び降りて死ね。これは階級闘争ではなく、戦争だ」という物騒な文句が書かれていた。
 スペインでは民泊施設になっている建物が目立った。その分、地元の市民が借りられる物件は減る。これからも「観光公害」をめぐって激しい議論が行われることは間違いない。
 (文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
 筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92

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