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【新ヨーロッパ通信】不発に終わった気候保護会議
昨年11月11日から22日までブラジルのベレンで国連の気候保護会議COP30が開催されたが、その結果はCO2削減を目指す人々を失望させた。「化石燃料の使用をX年までにやめる」というスケジュールが、最終合意文書に盛り込まれなかったからだ。
今回のCOPは、昨年1月にトランプ大統領が米国のパリ協定脱退を決定してから初めての会議だったが、190を超える国の代表が集まった。
冒頭にブラジルのルーラ大統領が、「脱化石燃料のスケジュールについて合意しよう」という目標を打ち出した。2年前にドバイで開かれたCOP28では、初めて化石燃料からの脱却という目標が、最終合意文書に盛り込まれた。
ドイツなど約80カ国がこの目標に賛成した。だが、石油、天然ガス事業を重視するサウジアラビア、インド、ロシアなどの強い反対により、脱化石燃料のスケジュールは最終合意文書に盛り込まれなかった。
ドイツ環境省のシュナイダー大臣は、COP30終了後、「今回の会議では、化石燃料を重視する国々が地政学的情勢を利用して、自分たちの要求を貫徹させた。このため世界は、CO2削減について前進できなかった」と失望感を表明した。EUのフックストラ気候変動対策担当委員も、「われわれは目標を達成することができなかった」と述べた。
ドイツの日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)は、「産油国の頑強な抵抗により、最終合意文書の内容は、非常に弱々しいものとなった」とコメントした。
ドイツの論壇では、「EUはCOP30の前に、中国と気候保護に関する協力について事前の打ち合わせを行うべきだった」という批判も出ている。EU・中国間の関係は、中国からの電気自動車に対するEUの追加関税などの貿易問題のために冷却化している。EUにとっては、中国との間で、気候保護における連携を強めることが重要な課題だ。
ポツダム気候影響研究所のエーデンホーファー所長は、「今のままでは、地球の平均気温の、産業革命前に比べた上昇幅が1.5度を超える。欧州では夏の気温が上昇し、熱中症による死者が増える。温暖化を抑えるには、CO2排出量を大幅に減らすか、CO2を大気中から回収する技術を発展させる以外にはない」と強い失望感を表明した。
気候変動の爪痕は、地球にくっきりと表れている。11月から12月にかけてインドネシア、タイ、マレーシアなどを襲った水害による死者数は約1000人を超え、数百万人が被災した。人類は経済成長率を維持しつつ、CO2排出量を削減することに成功するだろうか。
(文・絵 熊谷 徹 ミュンヘン在住)
筆者Facebookアカウントhttps://www.facebook.com/toru.kumagai.92
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